月9ドラマ『明日はもっと、いい日になる』初回 児童相談所テーマの難しさ浮き彫り

7月7日、フジテレビ系の「月9」枠で新ドラマ『明日はもっと、いい日になる』の放送が開始された。主演に福原遥、共演に林遣都を迎えた本作は、児童相談所(児相)を舞台としたハートフルヒューマンドラマとして注目されている。初回放送の平均視聴率は世帯7.1%、個人4.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、まずまずのスタートを切った。生田絵梨花や15年半ぶりに月9出演となる柳葉敏郎など、豪華な俳優陣が集結している点も話題となっている。

物語は、幼い頃からの夢である「刑事」を目指していたヒロイン・夏井翼(福原遥)が、突然、海辺の児相への異動を命じられる場面から始まる。児相に「子どもの泣き声が聞こえる」という通報が入ったことをきっかけに、問題を抱える家庭と児相の関わりが描かれていく。

初回では、8歳の息子を育てながら1日3時間睡眠で働くシングルマザーのエピソードが取り上げられた。懸命に働く母親を気遣うあまり、自分で何でもやろうとして部屋を散らかしてしまう息子。疲れて帰宅した母親がその状況を目にして、息子を怒鳴り、叩いてしまう。こうした双方の気持ちのすれ違いが、虐待へと繋がっていく過程が描かれた。

終盤では、児相が子どもを一時保護するものの、母親と息子が互いを思う気持ちを確認し、再び同居を始めるというハッピーエンドで幕を閉じた。「感動した」という声が上がる一方で、SNS(X)上ではその内容に対して違和感を覚える反応も少なくなかった。

月9ドラマ『明日はもっと、いい日になる』主演の福原遥さん月9ドラマ『明日はもっと、いい日になる』主演の福原遥さん

視聴者からは《綺麗にまとめ過ぎてサーッと引いたわ》《ただリアリティ無さすぎ、重みが全く無い》《美談で終わった……..違うよ……》といった厳しい意見も寄せられ、虐待の現場が“美化”されているのではないかとの懸念が示された。

児童虐待は日本において深刻化する社会問題である。こども家庭庁の2023年度調査報告によると、全国233か所の児童相談所における児童虐待相談対応件数は22万5509件に達し、前年度比で5%増加するなど、年々増加傾向にある。特に心理的虐待の増加が著しく、その見えにくさが問題視されている。また、「子ども虐待防止『オレンジリボン運動』」公式サイトによれば、虐待による死亡事例は年間50件を超え、毎週1人が命を落としている現状がある。

児童相談所がテーマの月9ドラマ『明日はもっと、いい日になる』キービジュアル、世間の反応を巡り賛否児童相談所がテーマの月9ドラマ『明日はもっと、いい日になる』キービジュアル、世間の反応を巡り賛否

芸能ジャーナリストは、こうした深刻な社会問題をドラマでどう描くか、単なる感動ストーリーにすることの難しさを指摘する。児相への世間の注目や理解が進むことは期待される一方、児童虐待の問題は全てが“ハートウォーミング”に解決されるわけではない現実がある。全てを明るくハッピーに描こうとすれば、当事者や関係者から反発を招く可能性も否定できない。社会問題を提起しつつ、ドラマとしてどこまで深く、そして適切に表現できるのか、今後の展開が注目される。

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