山梨県で食品衛生指導員の養成講習が長期間実施されていなかった疑惑が深まっています。jp24h.comは、関係者への取材と独自に入手した会議記録に基づき、この問題の実態に迫ります。飲食店の衛生管理を担う指導員の育成に、一体何が起きていたのでしょうか?
指導員養成講習、実施されず?内部告発と協会幹部の矛盾した発言
山梨県食品衛生協会(以下、県食協)内部を知るA氏は、長年指導員の養成講習が行われておらず、飲食店巡回時の細菌検査も実施されていなかったと証言しています。集英社オンラインの取材に対し、県食協のX専務理事は「地区食品衛生協会に委任していたため実務はわからない」と回答していました。しかし今回、jp24h.comが入手した会議記録によると、X氏自身2023年11月の会議で「養成講習会は行なってこなかった」と発言していたことが明らかになりました。
山梨県食品衛生協会傘下の地区食協で使われていた飲食店の点検記録
会議記録が語る真実:実務講習会との混同、そしてメディアへの警戒
会議記録には、地区食協の書記が養成講習会について尋ねたところ、X氏は「じゃあ養成してないんだ」と返答。その後、事務局職員も「たぶんやってない」と発言し、X氏も「『実務講習会』を一部、養成講習会に振り分けた」と説明しています。この「実務講習会」は食品衛生責任者向けの講習であり、指導員養成とは無関係であると県食協関係者は指摘します。
X氏はさらに、「何もしないで指導員になっている人がいるというクレームがマスコミにいっちゃうと、うちが一番困る」と発言。メディアへの情報漏洩を警戒していた様子がうかがえます。 食品安全コンサルタントのB氏(仮名)は、「指導員の養成が適切に行われていない場合、飲食店の衛生管理に深刻な影響を与える可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
何十年ぶりの講習開催も、細菌検査実習はなし
会議後、2024年1月と2月に県食協主催の養成講習会が開催されました。しかし、関係者によると、細菌検査の実習は行われなかったとのこと。長年のブランクを埋めるには、更なる取り組みが必要と言えるでしょう。
食品衛生の向上に向けて、透明性の確保と徹底した指導員育成を
今回の件は、食品衛生管理の根幹を揺るがす重大な問題です。県食協には、透明性の確保と徹底した指導員育成が求められます。消費者の安全を守るためにも、関係機関による迅速な調査と適切な対応が不可欠です。