高齢化が進む日本では、高齢の独居世帯が増加の一途をたどっています。この記事では、「老後ひとり難民」と呼ばれる高齢者の孤独問題の実態と、その対策について詳しく解説します。
老後ひとり難民とは?
「老後ひとり難民」とは、家族や地域との繋がりが希薄になり、孤立した状態の高齢者を指します。沢村香苗氏の著書『老後ひとり難民』(幻冬舎新書)では、高齢化社会におけるこの問題が深刻化していることが指摘されています。2050年には、全国34都道府県で世帯あたりの平均人数が2人を下回ると予想されており、高齢の独居世帯はますます増加すると考えられます。
高齢者の孤独
老後ひとり難民が抱える問題点
高齢の独居生活自体は必ずしも問題ではありません。しかし、社会との繋がりを失い、孤立してしまうと、様々な問題が発生します。
医療・介護の壁
例えば、急な病気や怪我で入院が必要になった場合、身元保証人がいないことで病院の受け入れを拒否されるケースがあります。また、手術が必要な場合でも、本人に意識がない場合、家族や保証人がいないと治療が滞ってしまう可能性があります。介護施設への入居も、身元保証人が必要となるため、入居が困難になる場合があります。
死後の手続きの困難さ
病院や施設で亡くなった場合、医療費の精算、遺体の引き取り、葬儀の手配など、様々な手続きが必要になります。しかし、身寄りがいない場合、これらの手続きが滞り、火葬ができないまま何ヶ月も経過してしまうケースも報告されています。
経済的な問題
貯蓄があっても、認知機能の低下などで自分で管理できなくなると、生活費や医療費の支払いが困難になる場合があります。朝日新聞デジタルでは、1200万円の貯蓄があるにも関わらず、意思疎通が困難なため生活保護を申請した70代男性のケースが報じられています。
具体的な事例と専門家の見解
都内在住の82歳男性Aさんは、妻の死後、要介護2の状態になり、「あとはもう死ぬだけ」と口癖のように言うようになりました。Aさんのケースは、まさに「老後ひとり難民」の典型例と言えます。日本総研研究員の沢村香苗氏は、都市部で生活する高齢者は、地縁や血縁が薄く、孤立しやすいと指摘しています。子供がいる場合でも、頼りきりになることは難しく、親の面倒を見たくてもできないケースも多いのです。
老後ひとり難民にならないための対策
老後ひとり難民にならないためには、早いうちから対策を講じることが重要です。地域活動への参加や趣味のサークルなどを通して、社会との繋がりを維持することが大切です。また、成年後見制度の利用や任意後見契約の締結なども検討する必要があります。
経済的な備え
老後の生活費や医療費を賄えるだけの貯蓄をしておくことはもちろん、公的年金や介護保険制度についても理解を深めておくことが重要です。
地域との繋がり
地域活動に参加したり、ボランティア活動を行うことで、地域の人々との繋がりを築くことができます。
専門家への相談
行政の相談窓口や専門家(弁護士、社会福祉士など)に相談することで、自分に合った対策を見つけることができます。
まとめ
老後ひとり難民は、誰にとっても他人事ではありません。この記事をきっかけに、高齢化社会における孤独問題について考えていただければ幸いです。