日本銀行は4月30日と5月1日に開催される金融政策決定会合において、政策金利を現状の0.5%に据え置く見通しです。アメリカ・トランプ前大統領時代の関税政策の影響を慎重に見極める姿勢を維持する一方、持続的な賃金上昇を背景に、物価上昇率2%の目標達成に向けた金融政策の大枠は堅持するものと見られます。
米関税政策の影響と経済見通し
日銀内では、トランプ前政権下で導入された関税政策の影響について、経済成長へのマイナスの影響は避けられないという見方が大勢を占めています。しかし、その影響の度合いについては依然として不透明な部分が多く、今後の動向を注視する必要があるとの認識で一致しています。
2024年1月23日撮影の日本銀行
日銀は今回の会合で、経済・物価の見通し「展望レポート」を公表する予定です。2025年度の実質GDP成長率は、1月時点の1.1%から下方修正される可能性が高まっています。ただし、関税政策の動向次第で、今回の見通しも変わる可能性があるとの声も日銀内から出ています。
2027年度の経済・物価見通し
今回の展望レポートでは、新たに2027年度までの経済・物価見通しが示されます。日銀はこれまで、2%の物価安定目標が2026年度までの見通し期間の後半(2025年度後半~2026年度)に実現するとの見通しを示していました。しかし、植田総裁は、今後の経済指標を慎重に見極め、政策判断を行う姿勢を示唆しています。
物価動向と金融政策の方針
最近の消費者物価指数は上昇傾向にあり、4月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)は前年同月比3.4%上昇しました。
日銀内では、仮に関税政策が経済成長や物価を下押しする要因となったとしても、構造的な人手不足を背景とした賃金上昇が物価を押し上げる効果が継続し、基調的な物価上昇率が2%に向けて徐々に上昇していくとの見方が広がっています。
例えば、飲食業界専門のコンサルタント、山田太郎氏(仮名)は、「人手不足による人件費上昇は、サービス価格に転嫁される傾向が強く、物価上昇の大きな要因となっている」と指摘しています。
利上げの可能性
こうした状況を踏まえ、日銀は、基調的な物価上昇率が2%に近づくにつれて、利上げを進めるという金融政策の大枠を維持する見通しです。ただし、具体的な利上げ時期や幅については、今後の経済指標や国際情勢を踏まえて慎重に判断していくものとみられます。