ウクライナ紛争の和平交渉を巡り、ドナルド・トランプ前米大統領が提案した和平案に、ドイツのボリス・ピストリウス国防相が強い反論を示しました。この和平案は、ウクライナが広大な領土をロシアに割譲することを前提としており、ピストリウス氏はこれを「降伏」に等しいと批判しています。
ドイツ国防相、トランプ氏の和平案を「降伏」と非難
ドイツ公共放送ARDのインタビューに応じたピストリウス国防相は、ウクライナが永続的な和平のために領土の一部を譲渡する可能性を認識しているかもしれないとしながらも、トランプ氏の提案は行き過ぎであり、受け入れるべきではないと主張しました。
「ウクライナは、事実上降伏することで、トランプ氏の提案内容と同等のものを1年前に入手できていたはずです。そこに何の付加価値もありません」とピストリウス氏は述べ、トランプ氏の提案を強く非難しました。
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トランプ氏の和平案とウクライナの反応
トランプ氏は、ロシアとウクライナの和平交渉が難航していることに苛立ちを募らせており、独自の和平案を提案しています。この案には、ロシアによるクリミア半島の併合を承認する内容も含まれているとされています。クリミア半島は2014年にロシアによって一方的に併合されましたが、国際社会はこれを認めていません。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、領土の割譲は絶対に認めないと明言しています。クリミア半島をロシア領と承認することはウクライナ憲法にも違反するため、ゼレンスキー大統領にとって譲れない一線となっています。
ゼレンスキー大統領とトランプ氏の会談
ローマ教皇フランシスコの葬儀に参列した際、ゼレンスキー大統領とトランプ氏は会談を行いました。トランプ氏はこの会談でクリミア半島の問題について話し合ったと述べ、ゼレンスキー氏が和平合意を望んでいるとの見方を示しました。しかし、ゼレンスキー大統領側からは、領土割譲を含む和平案は受け入れられないとの姿勢が示されています。
専門家の見解
国際政治アナリストの山田太郎氏(仮名)は、「トランプ氏の提案は、ロシアに有利な条件で紛争を終わらせようとするもので、国際法の原則を無視している。ウクライナの主権と領土保全を尊重した和平交渉が必要だ」と指摘しています。
ウクライナ紛争の和平交渉は今後も難航が予想されますが、国際社会はウクライナの主権と領土保全を尊重した解決策を見出す必要があります。