経済産業省は次世代電力計「スマートメーター」で把握できる各種の情報を、企業や自治体が活用できるようにする制度変更に乗り出す。電力会社が電力情報を外部に提供することを禁じている電気事業法を改正し、個人情報保護の厳格化などを前提として提供を認める。個人から購買履歴などのデータを預かって企業に提供する「情報銀行」を介することを想定しており、政府が進めるデータ活用社会の実現につなげる考えだ。
20日に開いた次世代電力システム検討のための有識者会合で方向性を示し、合意を得た。来年の通常国会に電気事業法改正案を提出する予定だ。
スマートメーターで知ることができる時間ごとの電力使用量などのデータは個人情報を含むことから、厳格な運用が必要。外部でのデータ利用への同意を個人から取り付ける際の手続きなどを情報銀行で実施するほか、それらが適正に運用されるかを国が監督するようにする。これらの体制を整えた上で、データを企業や自治体に提供していく。
スマートメーターは電力会社が各家庭に設置。30分ごとに電気使用の場所、時間、量などを把握することができる。この情報を活用すれば、電力消費をもとに個人や地域の生活情報が推測され、さまざまな事業戦略に活用できる。
また、地域の時間ごとや曜日ごとの居住状況、人口などを知ることも可能。自治体の災害対策や避難計画立案にも応用できる。