【ひふみんEYE】冴えた藤井聡太名人の勝負勘 冷静に「歩」打ち込み「八方にらみの角」踏み込み


 藤井聡太名人(竜王・王位・王座・棋王・王将・棋聖=22)が挑戦者の永瀬拓矢九段(32)に先勝した、将棋の第83期名人戦7番勝負第2局が30日、東京都大田区「羽田空港第1ターミナル」で行われた。29日午前9時からの2日制で始まった対局は、先手の藤井が永瀬を下して、3連覇に向けて連勝した。第3局は9、10日、大阪府泉佐野市「ホテル日航関西空港」で行われる。

【写真】連勝を決めた藤井聡太名人

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 見応えのあるつばぜり合いでした。藤井名人がうまくチャンスをとらえて、攻めをつなげました。永瀬九段の趣向で、急所というか争点が分かりづらい将棋になりました。4筋の攻防に利かせた「八方にらみの角」を生かして踏み込みました。一連の攻めを成立させたのが8筋の玉の左、9筋から自陣に打った歩でしょう。手堅い冷静な一着でした。受けといい攻めといい、めりはりが利いて勝負勘がさえていました。

 永瀬九段は敗れはしましたが、受け将棋の真骨頂を発揮してくれました。腰の重いタイプで、持ち時間9時間の2日制は合っていると思います。角換わり3三金型の下段飛車は用意周到な作戦で、隙のない陣形でした。千日手をにおわせながら、2筋と8筋で飛車を往来させてのらりくらりとかわしながら、藤井名人の攻めを催促していました。複雑ですが、高度な指し回しでした。

 見どころたっぷりの今シリーズ。藤井名人にとって連勝は大きいです。3連覇がかなり濃厚となってきました。(加藤一二三・九段)

 



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