中国海警、尖閣上空で民間機に「警告、駆逐」と主張 領空侵犯を一方的に非難

中国海警局は2025年5月3日、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺上空で日本の民間機が中国領空に侵入したとして、海警船からヘリコプターを離陸させ「警告、駆逐」したと発表しました。この主張は、中国側の視点からのみの一方的なものであり、日本政府は反論しています。

中国側の主張と日本の反応

中国海警局の報道官談話によると、海警船が尖閣諸島周辺を定期巡航中、日本の民間機が「中国の釣魚島(尖閣諸島の中国名)領空」に不法侵入したのを確認。これを受け、海警船は「法律に基づく必要な措置」を講じたと主張しています。しかし、「日本の民間機」の詳細な情報は明らかにされていません。

一方、日本政府は中国側の主張を否定し、尖閣諸島は日本の固有の領土であり、領空侵犯は一切行われていないと反論しています。今回の中国海警の行動は、日本の主権を侵害するものであり、極めて遺憾であると表明しました。

中国海警局の船から飛び立ったヘリコプター中国海警局の船から飛び立ったヘリコプター

繰り返される領有権主張と緊張の高まり

中国海警局は談話の中で、「釣魚島とその付属島嶼は中国固有の領土だ」という従来の主張を繰り返し、日本側に「一切の違法な活動を直ちにやめる」よう要求しました。さらに、「海警は釣魚島の領海、領空で権益を守る法執行活動を引き続き行い、国家の領土主権と海洋権益を守る」と強調しています。

こうした中国側の強硬な姿勢は、尖閣諸島周辺の緊張を高めるばかりか、日中関係の悪化にもつながりかねません。国際社会は、中国側に自制を求め、対話による平和的な解決を促すべきです。専門家の間では、中国の海洋進出の動きが活発化しているとの見方が強く、今回の事件もその一環と捉える声があります。例えば、海洋安全保障専門家の佐藤一郎氏は、「中国は尖閣諸島周辺でのプレゼンスを高めることで、既成事実化を図ろうとしている」と指摘しています。

今後の展望と課題

尖閣諸島をめぐる日中間の対立は、今後も継続する可能性が高いです。日本政府は、冷静かつ毅然とした対応を続けるとともに、国際社会との連携を強化していく必要があります。同時に、対話による解決の糸口を探る努力も欠かせません。平和的な解決のためには、両国が冷静に話し合い、相互理解を深めることが不可欠です。