5年前に離婚した愛知県の会社員女性(53)は、人生で最後の婚活「ラス婚」中だ。
結婚22年目で破局した。原因は元夫(53)の実家依存だった。
「結婚した当初、夫の実家でしばらく義母と一緒に住んでいたのですが、元夫はマザコン。何かと干渉してくる義母が嫌で3年後にマンションへ移りましたが、元夫の実家依存はその後も続きました」と女性は振り返る。
子育てが一段落すると女性は就職し、正社員となって離婚の準備を始めたという。
「子どもが大きくなったら絶対に離婚しようと心に決めていた」
息子2人が成人した現在、女性は1人で暮らしている。婚活アプリ「ラス恋」など複数のマッチングアプリに登録し、複数の男性とつきあってみた。しかし、相手が子育て中だったり、遠距離だったりして条件が合わず、なかなか交際には進展しなかった。
だが、最近は東京都内に住む男性と「いい感じ」だという。遠距離恋愛だが、女性は大学時代、首都圏に住んだ経験がある。交際相手を1人に絞るため、アプリは解約した。「いまは1人なので将来、都内に住んでもいい」と考え始めている。
婚活アプリ運営のタップル社・調査会社デジタルインファクト社の共同調査によると、2020年に622億円だった婚活マッチング市場の規模は、28年には860億円まで成長すると予測されている。
40代以降のミドルシニアを対象にした婚活アプリ「ラス恋」を23年10月から首都圏で始め、昨年9月から全国展開するアイザック(東京都)は「登録者数はこの半年間で10倍に増えた」(広報)という。うち離婚歴がある人は約7割、死別が約1割。子どもがいる人は6割という。
東京商工リサーチ情報部によると、マッチングアプリの運営会社数は5年で6倍近く増えた。一方で、アプリがロマンス詐欺のような不正利用の温床になっているとの指摘も。「セキュリティー監視などで経費もかさむので、淘汰(とうた)の兆しもある」(同部)という。(森下香枝)
朝日新聞社