フォロワー3万人超
長野県長野市稲葉の芹田不動産賃貸課長の倉石ももこさん(37)は、グルメブロガーとしての顔も持つ。市内を中心に8年間で約1500店の飲食店を紹介し、インスタグラムのフォロワーは現在3万2千人、ユーチューブのチャンネル登録者は1万7千人に上る。
きっかけは出産育児で「最前線の仕事ができなくなった」こと。地域の店を応援する人が増えるように―と願いながら投稿を続けている。
4月中旬、同市栗田のカノープスカフェ。倉石さんは人気のパフェを注文すると、スマートフォンで手早く撮影し「うん、おいしい」と平らげた。責任を持って発信したいと本名と顔写真を出しているが、「あくまで趣味で息抜き。好きなお店を好きなように載せているだけ」と笑う。
夫の家業継ぐため移住
外食文化が盛んな福岡市に生まれ育ち、大学卒業後、都内の大手不動産会社に勤務。同僚だった夫(36)と結婚し、夫の家業の芹田不動産を継ぐために2013年11月、長野市に移住した。
「毎日、福岡に帰りたいと考えていた」
友人が1人もいない地で「毎日、福岡に帰りたいと考えてばかりいた」。暮らし始めて3カ月後の14年2月には豪雪災害が発生し、「とんでもないところに来ちゃったのかな」とも思った。
15年に長男を出産。産後間もなく職場復帰したが、夜泣きと授乳で常に睡眠不足。仕事中も3時間おきに託児所へ行き授乳した。「毎日いっぱいいっぱいだった」。SNSでは、地元の友だちが子連れで集まる楽しげな様子が目に入り、寂しさが募った。
大好きだった外食は「子どもが泣き出さないかとか、周りの目が気になり過ぎて味が分からなかった」。飲食店は「おいしさだけでなく居心地が大事」だと痛感した。
最初は「街の発信」
17年に長女が生まれると、2人目ということもあり、時間にも気持ちにも余裕ができた。それでも子の発熱などを考えると、「最前線で営業の仕事をするのは難しい」。家でもできることを考え、「街の発信」を始めた。最初は部屋探しの客に街を紹介する目的だったが、自分と同じように子育て中で外食が難しく「子どもが大きくなったら行きたい」と投稿を楽しむ人も増えてきた。