豪(細田佳央太)と蘭子(河合優実)の想いがついに通じ合った。2人が交わした会話の中には、蘭子のイメージとされる『アンパンマン』のキャラクター・ロールパンナちゃんの心情を彷彿とさせるセリフも入っていた。
NHK連続テレビ小説『あんぱん』は、国民的アニメ『それいけ!アンパンマン』の生みの親である漫画家・やなせたかし(本名:柳瀬嵩)と、その妻の小松暢夫妻の半生がモデルの物語。戦前、戦中、戦後の時代を生き抜き、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』を生み出すまでの愛と勇気の物語を描いており、作中に『アンパンマン』を彷彿とさせる要素が随所に登場している。今回は第6週の『アンパンマン』に関する小ネタを紹介する。
5月8日に放送された第29話にて、豪の壮行会が行われた。彼に想いを寄せるもなかなか言葉にできない蘭子だったが、盛り上がる室内から静かに出ていく豪を追いかけ、ついに思いを口にする。
「きっともんてきてよ。きっとやなくて、絶対や」
映画『それいけ!アンパンマン』シリーズ通算第14作『それいけ!アンパンマン ロールとローラ うきぐも城のひみつ』(2002年)の中でロールパンナちゃんがメロンパンナちゃんに向けて言ったセリフ「いつか、きっといつか、一緒に暮らせる」。これは『アンパンマン』ファンの間で「名セリフ」と語り継がれている有名なセリフだ。
作られる過程でバイキンマンに「バイキン草」のエキスを入れられてしまい、善と悪の2つの心を持って生まれてきてしまったロールパンナちゃん。そのため、仲間たちとは別で「くらやみ谷」で暮らしている。しかし、本当は大切な妹・メロンパンナちゃんと一緒に暮らしたいのだ。その思いが漏れ出たセリフとなっていた。
「きっと」は願いのこもった希望の言葉なのに、過酷な運命を背負ったキャラクターが発すると、なんて切ない言葉なのだろう。事実、ロールパンナちゃんとメロンパンナちゃんは、いまだに一緒に暮らせていない。