芸術は人を感動させてナンボだと思います。それがプロというものなのだと、音楽や舞台、さまざまな素晴らしい芸術に触れたとき感じさせられます。
京都発のノンバーバル(言葉に頼らない)パフォーマンス「ギア-GEAR-」を先日、初めて観ました。公演回数は3000を超え、今や海外からも観にこられる方がいるほど。
私が訪れたときも、外国人のお客さんが半数を占めていました。
忘れ去られた古いおもちゃ工場を舞台に、かつて工場で作られていたおもちゃの人形「ドール」が工場で作業を続ける人間型ロボット「ロボロイド」と触れ合い、人間に近づいていくというストーリー。
「ギア」が誕生した7年前からストーリーは同じ、でも細かな部分はお客さんの意見によって日々改良されていきます。
そういった部分や、京都市中京区の三条通沿いにある100席限定の専用劇場の一体感も相まって、観客も物語の一部となる感覚が味わえます。
ステージに登場するのは日によって入れ替わる一流にパフォーマーたち。パントマイミスト、ダンサー、ジャグラー、マジシャン、そしてドール役の女性。言葉はありませんが、豊かな表情と全身を使った表現によってたくさん笑いが巻き起こっていました。
個人的には、パントマイミストを中心にあたかも強い風が吹いているような場面を作り上げたのに心動かされました。
無から有を生み出す力、目に映らないのにそこにあるものを感じる力が人にはあり、その人間の素晴らしい想像力を役者たちに引き出してもらった気がしました。
仕事柄か、人のパフォーマンスを観るときは、つい“する側”の立場で観てしまうのですが、その意味でも、あの一瞬を生み出す日々の鍛錬に深く感動しました。
プロフェッショナルとして何か一つでも人を感動させるものを残したいし、そうでないと楽しくないとも思いました。
言葉がない分、いろんなことを自分で考えながら物語の世界にどっぷり浸かって、笑って涙しての90分。観終わった後の不思議な爽快感と胸に残るアツいもの。これは人に勧めたい!チケットをプレゼントしたい!そう思ったのが何よりも素晴らしいものだったことの証です。 (α-STATION DJ、眞崎直子)
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【プロフィル】眞崎直子(まさき・なおこ https://twitter.com/naokomasaki ) 太陽の光と緑の風を感じる瞬間が幸せ。目指すのは、自然と繋がったシンプルな生き方です。学生時代に始めたドラムは、技術以上にノリと一音を大切に。言葉もシンプルに的確に、想いを込めて伝えていきます。猫とカナダと漬け物が元気の源。ちなみに、日焼けしているのではありません、地黒です。番組「LIFT」(月曜日から木曜日の午後7時~9時放送、http://fm-kyoto.jp/blog/lift/ )で、水曜日と木曜日を担当。
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京都のFMラジオ局、α-STATION( http://fm-kyoto.jp/ )のDJのみなさんが京都のおすすめスポット、グルメ、音楽情報など、楽しい京都の話題や最新トレンドをお届けします。