連休明けで気が重い人は「先が見えなくて当たり前と考えてみては」 養老孟司先生が語る「無計画のすすめ」


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 実感として、周囲に心が疲れた人が増えたと感じる方は多いだろうし、ご自身がそうだという方も多いだろう。ゴールデンウイークを終え、五月病の季節となった今ならなおさらだ。

 物価高その他で生活が苦しいとはいえ、もっと経済的に苦しい国の人たちよりも幸福度が低いのはなぜか。メンタルで問題を抱える人が増えるのはなぜか。それに対してどのような心持でいればいいのか。

。『バカの壁』で知られる解剖学者の養老孟司さんは、新著『人生の壁』の中で、社会のシステムに原因があるのではないかとしたうえで、心の持ち方をアドバイスしている。養老先生のアドバイスに耳を傾けてみよう(以下、『人生の壁』より抜粋・引用)。

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社会のシステムが素直でなくなっている

 これも社会システムのどこかに無理がある、あるいは社会が人に無理をさせている結果なのでしょう。

 システムが素直じゃない、とでも言えばいいのでしょうか。

 物事はきちんとやらなければいけない。そのためにシステムはきちんとしたものがいい。理屈はその通りなのですが、それがストレスのもとになっている。

 物事を杓子定規(しゃくしじょうぎ)に考えすぎることで、ルールだけがどんどん多くなり、融通がきかなくなっている。決まりはそうだけれども、これは仕方ないよな──そういうバッファー(余白)がなくなっているのです。

 学校がいい例でしょう。「必ず行かなければいけないところ」になってしまった。昔、学校ができた頃は、行かなくてもいいところで、奇特な人だけが子どもを行かせていたのです。それがだんだん誰もが行くところになって、さらに行くことが強制されるようになりました。

 私は中学生の時に学校に行くのが嫌になってきて、系列の高校に進学するのではなく、別のところに転校させてくれと母親に一所懸命に言ったことがありました。細かいことに厳しいのが窮屈で嫌だったのです。それで母親が学校に掛け合いに行ってくれたものの、結局、校長先生になだめられて、そのまま進学することになった。転校しそびれたわけです。

 今振り返れば、その高校で良かったのでしょう。もちろん転校したらしたで、きっと何とかなったのだろうとは思います。

 今の子どもたちについていえば、本人のあずかり知らぬ事情や理由で、大人たちが勝手に動いている部分が大きくなり過ぎた気もします。その結果、大人が自分を相手にしてくれていないというふうに感じてしまう。大人からすれば、「あなたのため」なのかもしれないけれども、それを当人たちは理解できません。



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