大阪・関西万博の喧騒の陰で、裏社会ではIR開業後に待ち受ける巨大利権の争奪戦が起きている!?建設業界、民泊ビジネス、闇金、歓楽街……万博で動く莫大な“カネ”の争奪戦に迫った。
「チケットも売られへんし」計画狂いに焦るヤクザたち
開催地域を中心に、莫大な経済効果を生み出すことが約束されている大阪・関西万博。裏社会の人間たちもその利益を得るため躍起になっている。
関西系大手暴力団の元組員A(50代)は語る。
「大阪万博誘致が決まった’18年当時、ヤクザたちは“これは稼ぎ時だ”と色めき立った。フロント企業や協力者の社長、詐欺師などを集めて、ビジネスのアイデアを出させていた組織も少なくなかった。会場周辺の土地の地上げ、雑居ビルの不正取得、偽グッズ製造、民泊物件の確保──とにかく盛り上がっていたね。でも、その後コロナ禍で世間は万博どころではなくなり、ヤクザたちのテンションも急速に下がっていった」
当然、大阪府警もこの動きを見逃していたわけではない。昨年7月、暴力団排除条例が改正された。
この改正により、万博関連の工事で反社会勢力への利益供与が発覚した場合、即座に逮捕が可能となる厳しい規定が盛り込まれた。
「儲かるわけない。とっくに大阪のフロント企業が施設の解体からカジノまで全部押さえとるやん。うちらみたいな新規参入の人間には厳しい。某政党にツテがないと入り込めなかったと思うわ」
そう明かすのは、関西の指定組織の元関係者B。
「もともと万博チケットは余ってるし、ダフ屋でパクられたら割に合わない。昔ならたくさん買わされてる地元企業から回してもらえることもあったけど、今はムリ。昔は政治家ともベッタリで公共事業に参入もできたけどな」
「本番はカジノやね」IR利権に望みを賭ける
だが、ヤクザたちはまだ諦めていないのだという。前出のAは、「本番はカジノやね」と語る。万博の跡地となる夢洲では、’30年の開業を目指してIR(統合型リゾート)事業が進行中だ。
IRとは、カジノ、ホテル、ショッピングモール、アミューズメントパーク、会議場などが一体化した巨大複合施設のこと。
建設費は莫大で、工事関連の利権だけでなく、カジノ運営においてもディーラーの手配、換金業務、さらには外国人向けの風俗ビジネスなど、新たな収益チャンスが広がっている。
それらを虎視眈々と狙っているのだ。