来年2月に迫ったミラノ・コルティナ冬季五輪。国際スケート連盟は13日、五輪最終予選に参加可能なロシアの選手のリストを発表しました。
【画像で見る】単独取材…五輪“フィギュア” ロシア「女王」出場は?
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ロシアは、女子シングルでは2014年のソチ大会以降、五輪3大会連続で金メダルを獲得するなど、圧倒的な強さを見せてきたフィギュアスケートの強豪です。しかし、ウクライナ侵攻の制裁で、2022年の北京五輪以降、国際大会への出場が禁止されてきました。
■ロシア女王 現役“最強”17歳
今回のリスト、注目の女子シングルには、17歳のアデリア・ペトロシアン選手の名前もありました。
ペトロシアン選手は、ロシア選手権2連覇。高難度のトリプルアクセルや4回転ジャンプをプログラムに組み込んでいます。現在の現役女子選手の中では、最も高難度なジャンプ構成を成功させています。
ペトロシアン選手は今年4月、NNNの単独取材に応じ、「世界の人たちに良い印象を与えたい。(日本の)坂本花織選手のように尊敬される選手になりたい」と、国際大会への思いを語っていました。
■ロシア女王 点数は未知数
フィギュアスケートはジャンプやスピンなどの「技術点」と、表現力やスケート技術などの「演技構成点」で競われます。ペトロシアン選手は高難度ジャンプを武器に「技術点」の基礎点は高得点が見込まれますが、専門家は「演技構成点」をどこまで伸ばせるかは未知数だと指摘しています。
ペトロシアン選手の演技の映像は、ロシア以外の国ではインターネットなどで見ることが出来ますが、実際に会場で生で演技を見る時に比べ、映像ではスピードやスケートリンクをどれだけ大きく使っているかなど、演技構成点に影響する部分が分かりづらいということです。
■ペア・ダンスは不可 厳しい条件とは
一方、国際スケート連盟の金載烈(キム・ジェヨル)会長は、今年4月、「news every.」の取材に対し、「ロシア側は五輪最終予選にフィギュアスケートの全4カテゴリー(男女シングル、ペア、アイスダンス)の出場を申請した」と明言。しかし、今回、五輪最終予選への参加が認められたのは男女シングルの選手のみ。国際スケート連盟は、参加の条件として、ウクライナ侵攻を支持した言動がないこと、ロシア軍に所属していないことなどをあげていました。
国際スケート連盟の金会長は、ロシアの参加に対し各国の連盟からは「様々な意見があった」と認めたうえで、「時間をかけて厳しく調査をしている」としていました。今回、ロシア側が申請したペアとアイスダンスの選手は条件を満たさなかったとみられます。
また、国際スケート連盟は、今回参加資格を獲得したシングルの選手についても、今後違反があった場合、出場資格を取り消すことがあるとしています。
ロシアの選手は、来季は五輪最終予選とミラノ・コルティナ五輪のみ「中立な個人資格の選手」として出場が可能。国旗や国歌の使用は禁止されていて、団体戦への出場も認められていません。
ミラノ・コルティナ五輪の最終予選は、9月に中国・北京で開催されます。期間中、国際スケート連盟は、ロシアとベラルーシの選手が試合に集中できるよう、インタビューや会見などの取材対応は禁止するとしています。
■五輪最終予選 出場可能選手
※出場は各カテゴリー1人
※負傷・病気の場合に限り補欠1人
【女子】
アデリア・ペトロシアン(ロシア選手権優勝)
アリーナ・ゴルバチョワ(ロシア選手権3位)
【男子】
ピョートル・グメンニク(2020年世界ジュニア選手権3位)
ウラジスラフ・ジキジ(ロシア選手権優勝)