動画配信中だった女性インフルエンサーが射殺される事件が14日、メキシコで発生した。同国では11日にも女性市長候補が行進のライブ配信中に殺害された。警察当局は、女性差別を動機とした殺人「フェミサイド」とみて、捜査を進めている。複数の米メディアが報じた。動画のライブ配信中に事件に巻き込まれ、その状況が配信された事例としては、日本でも3月に東京・高田馬場の路上で女性が刺殺された事件が起きている。
被害にあったのは、メキシコ人モデルで美容インフルエンサーのヴァレリア・マルケスさん(23)。インスタグラムで10万人のフォロワーがいるマルケスさんは14日、メキシコ中部ハリスコ州サポハンの美容室で、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」のライブ配信を行っていた。
米CNNなどによると、配信中に訪れた配達員からマルケスさんは箱を受け取った。カメラの前に戻ったマルケスさんが箱からぬいぐるみを出し微笑んだ直後、室内に侵入した犯人に撃たれた。マルケスさんが椅子に倒れ、机に血だまりができる様子が配信された。放送は続き、マルケスさんの携帯電話を持った犯人の顔が一瞬映ったところで放送が終わったという。マルケスさんは頭と胸を1発ずつ撃たれ即死だった。
同国では11日にも、東部ベラクルス州の女性市長候補だったイェセニア・ララ・グティエレスさんが支持者に囲まれながら行進している動画をフェイスブックで配信中に約20発の銃弾を受け、3人の関係者とともに殺害された。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの統計によると、メキシコで発生する被害者が女性の殺人事件のうち、4分の1がフェミサイドだという。