iPhone、インド生産「するな」 トランプ氏、強める民業介入


 同社は長年、アイフォーンの大半を中国で生産してきた。米中の「関税戦争」を受け、生産移管でコスト増を避ける狙いだったが、再考を迫られた形だ。人件費などが高い米国で生産しても、そのコストは価格に転嫁される公算が大きく、消費者にも打撃となる。

 「これまで、よくしてきてやっただろう。インドで生産してほしくない」。トランプ氏は15日、アップルのクック最高経営責任者(CEO)にこう伝えたと明らかにした。

 クック氏は5月、米国向けの大半のアイフォーンをインドで生産すると表明したばかり。トランプ政権による中国への大幅な関税引き上げを踏まえ判断した。それでもコストは9億ドル(約1300億円)増える見通しだ。

 アップルは2月、4年間で5000億ドルの対米投資を表明するなど、トランプ氏におもねってきた。ただ、中心はAI投資だ。大統領は15日、アップルが米国生産を増強すると期待を示したが、複雑なサプライチェーン(供給網)の見直しは簡単ではない。

 トランプ氏は民業への口先介入を強めている。4月、米アマゾン・ドット・コムがインターネット通販の一部製品で、関税がもたらした影響額の表示を検討していることが伝わると、ベゾス会長に電話で苦言を呈し、撤回させた。

 ウェドブッシュ証券のダン・アイブス氏の推計によると、米国でアイフォーンを製造すると、現在1000ドル(約15万円)の端末は3500ドル(約50万円)に跳ね上がるという。米国はインドと通商交渉のさなかにあり、今回のトランプ発言は駆け引きとの見方もある。ただ、米政権はこれまで、米国への生産回帰が可能だとも繰り返しており、真意は不明だ。 



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