ロシアとウクライナが16日、トルコ・イスタンブールで3年ぶりの直接協議に臨みました。停戦や和平に向けた一歩となるのでしょうか。防衛省防衛研究所の兵頭慎治・研究幹事に聞きました。
ロシアとウクライナの直接協議が開かれたが、停戦に向けた進展は期待できない。
ロシア側は、2022年3月の前回協議を率いたメジンスキー大統領補佐官が代表団のトップであることからも、3年前の自国に有利な和平協議の再開を目指すとみられていた。ウクライナは30日間の無条件停戦を求めており、両国はまったくかみ合わないだろう。
■プーチン氏の真の狙い
欧米とウクライナから突きつけられた停戦交渉に応じず、別の直接協議を「逆提案」する手法は、ロシア外交でしばしばみられる。プーチン大統領の最終的な狙いは、二国間の協議が行き詰まっているとトランプ米大統領に認識させ、以前のようにロシアとの直接交渉に引き込むことではないか。
一方、ウクライナ側は米国からの軍事支援が途絶えることを危惧している。ロシアからの直接協議の提案に、トランプ氏が応じるよう求めたため、ゼレンスキー大統領には拒絶する選択肢はなかったと言える。トランプ氏の顔色をうかがっている点は、ウクライナ、ロシアに共通している。
トランプ氏は15日、「私とプーチンが参加するまでは、何もおこらないだろう」と発言した。すでにロシアにとって望ましい展開になっているのかもしれない。今後注目されるのは、ウクライナを抜きにした米ロの首脳会談が実現するかどうかだろう。(聞き手・渡辺七海)
朝日新聞社