公益通報者保護法の解釈に関する斎藤元彦・兵庫県知事の発言が、同法を所管する消費者庁の公式見解と異なると指摘されている問題で、同庁の伊東良孝担当相は16日の閣議後の会見で「兵庫県から知事の解釈について返答があり、消費者庁の法解釈と齟齬(そご)がないことを確認した」「組織の上に立つ方が正しい形で制度の内容について十分に認知していただかなければならない」と語った。一方、県の担当者は取材に「齟齬がないとは伝えていない」と述べ、食い違いを見せた。
【写真】斎藤知事の法解釈、消費者相が否定 「外部への通報も保護される」
県の県政改革課によると、14日に消費者庁の担当者から電話があり、「消費者庁の法解釈を知事は理解している」との趣旨を伝えた。だが、知事の解釈が消費者庁の解釈と一致しているかどうかは伝えていないという。
■参院特別委でも質疑
同法の改正案を審議する参院の特別委員会でも16日、関連する質疑があり、伊東担当相は「(兵庫県が)消費者庁の法解釈に沿って適切に対応されると考えている」と答弁した。社民・大椿裕子議員の質問に答えた。
大椿議員は、消費者庁が4月に兵庫県に対し、知事の見解が「消費者庁の公式見解と異なる」と「一般的な助言」をしたことについて、不十分だと指摘。地方自治法に基づく「技術的な助言」を伝えるべきだと訴えた。地方自治法では、都道府県が法令に違反したり、公益を害していたりする際に、担当相が必要な措置を求めることができると定めている。
だが、伊東担当相は「難しい問題」と述べた上で、「県民の皆さん、議会の皆さん、みんなで対応すべき問題と考えている」と答弁するにとどまり、地方自治法に基づく助言はしない考えを示した。
朝日新聞社