【医者が教える】60年超のデータでわかった…健康になりたい人が「朝ご飯」に食べるべきものの正体


● 60年超のデータだからこそ見える「真実」

 私は疫学者兼医者ですが、「疫学(えきがく)」という単語に馴染みがない方も多いと思いますので、まずは「疫学」について説明しましょう。

 「医療」と「統計」を掛け合わせた実践的学問、それが疫学です。「病気が起こる原因や、どうやったら予防できるのかということを、人の集団を対象として調べることにより明らかにする学問」と定義できます。

 私は現在、母校である福島県立医科大学医学部で疫学講座の主任教授を務めています。それと同時に、いくつかの疫学研究に携わっています。

 そこで扱うのは、60年前の古くさい話ではありません。60年以上続いて蓄積された最も新しい現在のビッグデータです。エビデンスの強さは、ほかに類を見ません。本書では、このCIRCSや、やはり私が携わっているいくつかの研究、あるいは国内外のいろいろな研究が示す、真に健康になる方法を説いていきます。

● バナナ・ヨーグルト・野菜ジュースも過信は禁物

 朝は少しでも寝坊していたいというとき、バナナやヨーグルトなどを食べて家を出るという人が多いのではないでしょうか。

 バナナにはカリウムが多く含まれているので、高血圧の人にはとくにおすすめです。糖質量が結構ありますが、朝食ならその後の活動でエネルギーが使われてしまいますから気にしないで大丈夫です。

 ヨーグルトはカルシウムの多い乳製品であり、発酵食品でもあるので、やはり朝食におすすめです。

 ただし、どちらも完全食ではありません。バナナ1本であっても、ヨーグルト一つであっても、リズムをつけるという点で「なにも口にしないよりはいい」というくらいに考えてください。

 野菜ジュースを飲んでいるという人も多いですね。「これ1本に1日分の……」などと書いてあると、それだけで「健康に良さそうだ」と思ってしまいそうです。

 しかし、一口に野菜ジュースと言っても成分はさまざまです。宣伝文句を信じ込まず、しっかり自分の目で「なにが入っているのか」を確かめましょう。果汁など糖分がかなり入っているものが多く、かえって健康にはマイナスかもしれません。

 さらに、簡単にジュース1本飲んだだけで「自分は健康に留意している」と思ってしまうことが、あまりよろしくないと言っておきましょう。

 もし、本当に健康に留意する気持ちがあるなら、自分でスムージーをつくりましょう。砂糖も入れず、塩も入れず、新鮮な野菜をミキサーにかけただけのスムージーなら、繊維質も豊富にとれます。

 (本記事は『10000人を60年間追跡調査してわかった健康な人の小さな習慣』の一部を抜粋・調整・加筆した原稿です)

大平 哲也



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