高齢者が突然の骨折により、歩けなくなったり寝たきりになってしまう――このような危険な骨折は「骨卒中」と呼ばれています。食事を変えて骨を強くするにはどうすればいいのか、『栄養整形外科医の 一生折れない骨をつくる「強骨みそ汁」』より一部抜粋・再構成のうえお届けします。
■骨折した高齢者の骨に起きていること
骨折を予防するうえで控えていただきたいものがあります。それが「糖質」です。
改めて説明すると、三大エネルギーであるたんぱく質、脂質、炭水化物のうち、炭水化物から食物繊維を除いたものが糖質です。
糖質の問題点については、ここ数年で多くの人に理解されるようになりました。糖質の摂りすぎは、糖尿病だけでなく、肥満や老化を招きます。さらには、骨の質を低下させることもわかってきたのです。
骨の原料としてはコラーゲン(たんぱく質+鉄+ビタミンC)が重要ですが、そのコラーゲンを変質させてしまうのが「糖化(グリケーション)」という現象です。
糖化は、糖質(ブドウ糖、果糖)の摂りすぎによって起こります。食事を通して体内に取り込まれた糖質は、消化・吸収を経て、血糖となって血液中に出てきます。これを測ったものが血糖値です。
食事を摂れば血糖値は上がるものですが、体にとっては血糖値の変動が少ないほうがいいのです。そのため、体にはインスリンというホルモンを出して、血糖値を下げる働きが備わっています。
しかし、糖質を摂りすぎていると、この血糖値の調節がうまくいかず、高血糖状態が続いてしまうのです。それが常態化したのが糖尿病ですが、糖尿病でない人でも、糖質の摂りすぎで体のなかで糖を余らせてしまっている人は少なくありません。
この体内の余った糖質がたんぱく質と結びつくと、AGEs(エイジズ)(糖化最終産物)という老化物質をつくり出してしまいます。AGEsは分解されにくく、体の組織に蓄積されて、さまざまな悪さをします。例えば、血管にくっつけば動脈硬化の引き金になり、皮膚にたまればシワやたるみの原因となります。
もちろん、骨も例外ではありません。糖化が起きた骨は黄褐色(おうかっしょく)に変色し、脆くなります。正常な骨は白い色をしていますが、それが黄褐色になってしまうのです。