【カイロ=佐藤貴生】ペンス米副大統領は23日、予告なしにイラクを訪問した。少数民族クルド人自治区の主要都市である同国北部アルビルでは、自治政府を率いるネチルバン・バルザニ議長と会談し、「強固な結びつき」を維持するとのトランプ大統領の意思を伝えた。ロイター通信が伝えた。
米軍はイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の掃討に当たり、イラクとシリアのクルド人民兵組織と共闘。その後も連携してきたが、米政権は10月上旬、シリア北部からの米軍撤収を表明、現地のクルド人勢力を敵視するトルコが越境攻撃に踏み切った。後ろ盾を失ったクルド人民兵組織からは米国に対する批判も出た。
ペンス氏は訪問を通じ、米国への協力に謝意を示すとともに、イラクだけでなくシリアでもクルド人勢力を引き続き支援する意思を伝えた形だ。
また、ペンス氏はイラクのアブドルマハディ首相と電話で会談した。イラクでは10月初めから経済低迷や汚職の蔓延(まんえん)に反発する反政府デモが続き、300人以上が死亡した。両者は隣国イランの影響力浸透に対する懸念を共有し、アブドルマハディ氏は武力によるデモ隊鎮圧を回避するため努力すると述べたという。
ペンス氏は安全を考慮して首都バグダッド市街での首相との会談を避け、首都近郊の米兵が駐留する空軍基地を訪問、空軍基地内で駐留する米兵約700人と感謝祭の食事をした。