[ソウル 22日 ロイター] – 北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は22日、金正恩朝鮮労働党総書記が出席して東部・清津で前日開かれた新型軍艦の進水式で重大な事故が発生したと報じた。金氏は「犯罪行為」で容認できないと激しく非難したという。
北朝鮮でこうした事故が公表されるのは異例。4月にも同国最大級の5000トン級駆逐艦が進水した。
KCNAによると、事故を起こしたのは5000トン級の駆逐艦で、進水の際にバランスを崩して艦底の一部が損傷したという。金氏は不注意による事故で「わが国の尊厳と自尊心を崩壊させた」と指摘。「金正恩総書記は、絶対的な不注意、無責任、非科学的な経験主義によって引き起こされた重大事故、そして犯罪行為であり、起き得る範囲を超え、容認できないという厳しい評価を下した」という。
金氏は駆逐艦の即時原状復帰は「単なる運用面の問題ではなく、国家の威信に直接関わる政治問題だ」と述べ、6月の党大会の前に修復するよう命じた。
被害の詳細や死傷者が出たかは不明。
今回の駆逐艦進水について、北朝鮮情報サイト「38ノース」は先週、船体の側面から水面に滑り込ませる「横進水」という、これまで見られなかった方法で実施されるもようだと報じた。建造場所の港には、傾斜した船台がないため、船尾から水面に向かって滑り落とす、より一般的な「縦進水」の手法が取れず、横進水にせざるを得なかった可能性があると指摘した。
韓国軍合同参謀本部は会見で、損傷した駆逐艦は洋上で横倒しになっていると指摘し、韓国と米国の情報機関がこの件を以前から監視していたと説明した。