ソウル(CNN) 北朝鮮の最新鋭の軍艦が、21日の進水式で著しく損傷したことが分かった。事故を目の当たりにした金正恩(キムジョンウン)総書記は国の威信に対する恥辱と非難。事故の責任が認められた人物を処罰する意向を示した。国営メディアが報じた。
北朝鮮がこうした不手際を認めるのは異例。朝鮮中央通信(KCNA)によれば、進水メカニズムの不具合で5000トン級の駆逐艦の船尾が想定より早く水中に入り、船体の一部が破損して、船首が船台に残ったままになった。
金氏は進水の失敗を「犯罪行為」と糾弾。複数の国家機関による「完全な不注意」並びに「無責任」が原因だと非難した。そこには軍需工業部や金策工業総合大学、中央船舶設計局といった機関が含まれる。
韓国軍の分析によると、まだ命名されていない当該の軍艦は横向きに倒れて水上に浮かんでいる。同軍合同参謀本部の報道官が22日の記者会見で明らかにした。
海軍の専門家らは、このような進水時の不具合が船舶にもたらす損傷は「壊滅的」なものになりかねないと指摘。国営メディアは現時点で、事故の画像を公開していない。
退役した米海軍大尉でハワイ在住のアナリスト、カール・シュスター氏は、KCNAの説明を検証した後の見解として、圧力がかかって「船体がたわみ、亀裂が生じる。(ことによると)竜骨も折れるはず」と指摘。どの部位に最大の圧力がかかるかによって被害は異なるとした。
専門家は北朝鮮が過去数十年間で最も野心的な海軍の刷新に取り組んでいるとみているが、今回の進水の失敗はそうした取り組みにとっての後退を意味する。
北朝鮮は先月にも、数十年ぶりとなる新造の駆逐艦をお披露目した。当時金氏はさらに多くの駆逐艦、巡洋艦、フリゲート艦を建造する意欲を表明していた。
韓国側からは、北朝鮮には損傷した駆逐艦の修復に必要な設備が欠如しているとする観測も出ている。前出のシュスター氏は、修復が可能だとしてもそれには数カ月単位の時間がかかる公算が大きいとしている。
KCNAの報道によれば、事故調査班が既に発足しており、複数の高位当局者が今後開かれる朝鮮労働党中央委員会で責任を問われる可能性があるという。