大阪・関西万博の虫の大量発生は4年前から分かっていた! 「恐ろしいほどの数のユスリカが…」公聴会で指摘


 小さな虫の大群が、顔のあたりを直撃。両手で振り払っても、しつこく虫は追いかけてくる。大阪・関西万博会場に取材に来たが、これでは取材どころではない。

【写真】リングの上にびっしりとユスリカ

 周囲にいた来場者も、
「うわ、これなんや」
「すごい虫やんか」
 と駆け足でリングの上を逃げ回っていた。

 夢洲にある万博会場に、大量の虫が発生して来場者やスタッフを悩ませている。とくにひどいのが万博の目玉、「大屋根リング」周辺で、リングをささえる柱、上部の植え込みなどにびっしりと蚊のような虫がついているところもある。ライトアップされている部分に多く集まっているようにも見える。

 虫の正体は蚊によく似た「ユスリカ」。蚊と違って人の血を吸うことはないが、大量発生しやすいとされる。

■対策しても「どれくらい減るかはわからない」

 国際博覧会(万博)協会副会長でもある大阪府の吉村洋文知事は5月21日の記者会見で、

「不快に思われる方も多く出ている。私も万博会場に行き来するなか、ユスリカが多くいるのは感じている。看過できないと思った」

 と述べ、その対策として、

「アース製薬の社長さんに連絡をして、御社の知見をもって、ゼロは難しいかもしれないが、できる限りの対策に協力してほしいと依頼をし、協力をいただけることになった」

 と、大阪府と包括連携協定を結んでいるアース製薬に協力要請したことを明らかにした。

 ただし、吉村知事はこうも言った。

「自然界のことなので、どれくらい減るかはわからない」

 アース製薬では同日、ユスリカ対策のため製品を万博協会に提供したことを明らかにしている。だが、当面はユスリカが寄ってこないようにする防虫製品が中心で、虫の発生自体を抑える対策は、現地調査をしてから検討していくという。

 ユスリカの大量発生は会場内の飲食業者らにも影響を与えている。

 万博会場にキッチンカーを出店しているAさんは困惑した表情でこう話す。

「お客様が行列しているときに、ユスリカが襲ってくることもありました。買っていただいた食べ物を手にしているところにユスリカが直撃して落としてしまったとか、食べ物に虫がついたなどのトラブルもありました。もちろん商品は交換しましたが、こちらでは防ぎようがない。万博に出店する際、ユスリカが出るという説明はありませんでした。事前に説明すべきではないでしょうか。今からでも遅くないから説明してほしい」

万博協会はユスリカが出ることを、事前に知らなかったといい、出典するパビリオンや飲食店にユスリカの発生を伝えていない。

■「夢洲は虫の王国です」

 だが、大阪市が2021年12月に実施した万博事業の公聴会では、大阪自然環境保全協会がこんな指摘をしていた。

「今の夢洲は虫の王国です。多くのバッタ、多くのトンボ、多くのチョウ、そして恐ろしいほどの数のユスリカがいます。改めて影響の有無の調査をお願いしたいと思います」

 万博開幕の4年前に指摘があったのに、ユスリカが大量発生して慌てて対策をとっているのだから、公聴会は形式的なもので、きちんと意見を聞いていなかったと言われても仕方ないだろう。

 また、万博開幕直前に、記者がリングの植栽の手入れしているスタッフを取材した際、こう話していた。

「リングの植栽の花が枯れる程度の問題は、カネをかけて植え替えればいいだけです。それよりリングを建設している職人さんが、『すごく蚊が出る。植栽したらもっと増える。ライトアップすればさらにでしょう』と言っていた。実際に作業をしていても、夕方には虫がけっこういますよ」

 開幕前の気温が高くない時期に虫が出ていたのだから、その後の大量発生は予測可能だったのではないか。



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