5月24日、国立代々木競技場第二体育館で旗揚げ1周年記念興行を敢行する女子プロレス団体・マリーゴールド。その日のオープニングマッチで期待のルーキーがデビューする。彼女の名前は『心希』(しんの)。じつは心希の母親は90年代から2000年代にかけてビジュアルファイターとして人気を博した元・女子プロレスラーの大向美智子。つまり注目の二世レスラー誕生、ということになる。母親をデビュー時から取材し、今回、娘のデビュー戦も取材することになった元・週刊プロレス記者、小島和宏氏がデビュー目前の心希に話を聞いた。
【写真】5月24日代々木大会でデビューする女子高生レスラー・心希のソロショット
「あら、久しぶり! まだ女子プロレスの取材、やってるんですか? だったら、これからは娘がお世話になる番ですね。今日、リング上から入団の挨拶をさせてもらうんですよ」
昨年7月、マリーゴールドの両国国技館大会の控室で何年ぶりかに再会した元・女子プロレスラーの大向美智子さんにそう声をかけられた。そして、すぐ横に立っていた娘・心希を紹介された。
その昔、全女、LLPWを経て、アルシオンでのブレイクまで大向美智子の記事を書きまくってきた者としては、母娘二代にわたって取材対象となることは、なんとも感慨深い。じつは大向と同時期の活躍していた府川唯未の娘・田中きずなもプロレスラーになっている。田中きずなのデビュー戦の際には府川唯未から「ぜひ母娘二代でデビュー戦の記事を書いてほしい」と連絡が入り、喜んで取材させていただいた。
30年以上、この仕事を続けてきたからこそのめぐりあわせ。よく「プロレスは大河ドラマだ」と言われるが、2025年は本当にその言葉を噛みしめまくっている。1996年に初開催された女子プロレス『ジュニアオールスター戦』のメインに立った大向美智子が最後に3カウントを奪ったのがまだルーキーだった里村明衣子だった。その里村が現役引退した翌月に、大向の娘がプロレスデビューするなんて、とてつもなくドラマティックすぎる話ではないか!
ここまで読んで、いささかの違和感を抱いている方もいるかもしれない。昨年7月に入門し、いまやっとデビューというのは、最近の女子プロレス界ではかなり遅いペースになる。期待のルーキーなのに、なぜ?
それには明確な理由がある。心希はまだ現役の高校生。しかも実家のある山口県に在住している。入門したといってもフルタイムでプロレスの練習をしてきたわけでなく、高校に通いながら部活もし、休日や長期休暇のたびに上京してマリーゴールドに合流する、というかなり特殊な道のりを歩んできている。だから10カ月ちょっとでのデビューは遅く感じるようで、じつはかなり早い部類に入ると思う。