(ステラ・メディックス代表、獣医師/ジャーナリスト 星良孝)
【前編】パーキンソン病特化住宅ビジネスで急成長したサンウェルズはなぜ「闇落ち」したのか? その不正請求のカラクリ
前回、パーキンソン病に特化した住宅を展開するサンウェルズが、不正請求を働いた背景として、介護や障害者福祉に関連する制度につけ込みやすい点があると指摘した。加えて、介護住宅を展開する企業が過大請求する背景には、医療との関わりが深い訪問看護の課題もある。
というか、サンウェルズでは、こちらの部分が問題視された。
※介護や障害者福祉に関連する問題も存在していた可能性はあるが、後述する同社への調査の主眼とはならなかった。実際、調査報告書でも介護に関しては十分な調査が行えていないと記されている。
介護住宅では、看護師が訪問して体温や血圧を測ったり、症状を確認したりする。この訪問看護には、原則的に週3回までという回数制限がある。もともと共同通信が不正請求を最初に報道したときには、精神疾患の患者を住まわせる住宅で、必要性も薄いのに上限の週3日利用させていたことが問題視された。
さらに、請求額を加算できることを悪用し、やってもないのに不正に早朝や深夜に訪問看護したことにしていた。
介護住宅での訪問看護では、介護保険が優先的に利用される。共同通信が最初に報じた精神疾患の患者を住まわせる住宅に関しては、医療というよりも介護の問題と言えた。
ところが、サンウェルズでは医療保険の問題も生じていた。というのも、介護住宅での訪問看護でも、一部例外的に医療保険で賄える仕組みが存在するからだ。しかも、こちらの方が公金の詐取の金額が大きい。
サンウェルズでは、パーキンソン病特化の介護住宅に患者を住まわせ、同じ建物内に訪問看護ステーションを設置している。通常よりも近距離から訪問看護が可能な中で、建物内でできる最大限の公金詐取を効率的に行っていた。