【香港=藤本欣也】注目された香港区議会選は過去最高の投票率を記録し、親政府・親中派勢力が惨敗、民主派勢力が大勝した。
香港政府に対する不信任とともに、現在の反政府・反中デモを支持するという民意が示された形だ。香港政府への支持をことさら強調してきた中国の習近平政権の敗北でもある。
抗議活動に勢いがつくのは間違いなく、さらなる譲歩を迫られる当局が今後、どんな対応をとるかが焦点となる。
「最近の抗議活動が暴力化したとの批判は支持者の間でも少なくない。区議会選はその民意を計るバロメーターとなるだろう」
民主派の立法会(議会)議員は投票前、不安げにこう話していた。親中派勢力が選挙戦で訴えたのも、「民主派は暴力を支持している」という点に尽きた。
著名な親中派の政治家、何君堯(か・くんぎょう)氏は投票日の24日、「投票率が高いのは、最近の(デモ隊の)暴力事件を受けて、沈黙していた市民たちが目覚めた結果だ」と主張、民主派の暴力に異議を唱えるため市民たちが投票所に向かった-と強弁してみせた。
しかし、選挙結果をみれば民意は明らかだ。有権者の3人に2人以上が投票所に出かけ、民主派が8割以上の議席を取った衝撃は大きい。6月16日、主催者発表で200万人もの市民が反政府デモに参加したときの衝撃度に匹敵する。