【香港=三塚聖平】24日に投票が行われた香港区議会(地方議会)選挙は25日、開票作業が完了した。香港メディアによると、直接選挙で選ぶ全18区で計452議席の8割超を民主派が獲得する地滑り的勝利となった。1997年の中国返還後に民主派が過半数を獲得するのは初めて。「逃亡犯条例」改正問題に端を発した抗議デモが本格化した6月以降に香港全域で行われる選挙は初めてで、民主派は政府の対応の賛否を問う「住民投票」と位置づけていた。
香港ネットメディア「香港01」によると、民主派は直接投票枠の約85%に相当する385議席を獲得。選挙前は約7割を占めていた親中派は約1割の59議席と惨敗した。親中派の大物として知られる何君堯(か・くんぎょう)氏が敗北するなど、多くの選挙区で民主派新人が親中派の現職を破った。
選挙管理委員会によると暫定の最終投票率は71・2%と過去最高だった前回2015年の47・01%を20ポイント超も上回った。投票者数は約294万人。中国返還後の香港で行われた直接選挙で最も高い投票率だった。
香港政府トップの林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は25日、区議会選の結果を受けて「社会の現状や深刻な問題に対する市民の不満が反映された。政府は謙虚に市民の意見を拝聴し、真剣に反省する」とする声明を発表した。今後、香港政府や中国政府がデモ隊側の要求に対してどのような反応を見せるかが、デモの行方を左右することになる。
香港メディアは、行政長官を選ぶ選挙委員会のうち約1割に相当する117人分の区議会議員枠を、今回の圧勝で民主派が全て占めるとの見通しを報じている。2022年に予定される次期行政長官選にも一定の影響を与えることになるとみられる。