26日、日本維新の会の柳ケ瀬裕文議員が参議院決算委員会にて“太陽光パネルのリスク”について追及した。
【映像】「残念な答弁」柳ケ瀬議員が “苦笑でバッサリ”の瞬間
柳ケ瀬議員はロイター通信による「アメリカでは中国製の太陽光発電システムの一部に不審な通信機器が搭載されていたことが発覚して騒ぎになっている」という報道を引き合いに出して以下のように質問した。
「通信機器を通じてシステムが遠隔操作された場合、送電網が不安定化し、広域の停電を引き起こす恐れがあるとみられていて、中国が有事に、あるいは有事に先立ち遠隔で送電停止させるために設置しているとみられている。アメリカのエネルギー省は『新興技術に関するリスク評価を継続している』とした上で『製造企業の情報開示に顕著な課題がある』と述べている。アメリカの国土安全保障委員会のオーガスト・フルーガー議員は『通信ハッキングであろうと太陽光システムの遠隔操作だろうと、中国共産党は我々のインフラを狙う手段を選ばない』とロイターに語ったが、これは全く正しい認識だと思う。中国は太陽光パネルにおいて、全製造過程で世界シェア80%。我が国の太陽光パネルに関しても同様の懸念があるのではないか?」
これに対し武藤経済産業大臣は「報道は承知している。有志国との問題意識を共有しながら、関係団体から情報収集を行いながら、事実関係の確認を進めている。現時点では、関係団体からは不審な通信機器が搭載されている事例は報告されていないが、従前から電力安定供給の観点から、太陽光発電設備のサイバーセキュリティ対策は大変重要だと考え様々な取り組みを進めてきている。一般論で申し上げれば、仮に報道にあるような事態が確認され、電力の安定供給への懸念が生じた場合には、当該機器等が含まれる設備の設置者に対し、保安上必要な対応を求める。引き続き、関係団体からの情報収集も行いつつ、太陽光発電のサイバーセキュリティ確保にしっかり努めて参りたい」と答えた。
これらの回答に納得がいかない柳ケ瀬議員は「再生可能エネルギー供給事業者のうちどれくらいが中国の資本や人的リソースによるものなのか?」と質問。
資源エネルギー庁の伊藤禎則・省エネルギー・新エネルギー部長は「電力の安定供給を含む国の安全等の観点から外国投資家による発電事業の投資等にあたっては外為法による事前届出が義務付けられている。2022年から24年度に外為法に基づき再エネを含む発電事業への投資として事前届け出があったものは全部で1139件、そのうち外国投資家の国籍や中国のものは34件存在する。また、民間の調査機関によれば、2020年6月時点における1メガワット以上の太陽光発電事業者に占める中国企業の比率は、容量ベースで2%、件数ベースで1%という調査結果がある」と答えた。
だが柳ケ瀬議員は「外為法に届け出をしなくていいところで爆発的に増えているのではないか懸念を持っている」「外為法の範囲内では実態がわからない」と追及した。
武藤経済産業大臣は「わが国が地理的制約を抱える中で、エネルギーの安定供給と脱炭素を両立する観点と、極めて大事な話の中で、特定の電源に過度に依存しないようにバランスの取れた電源構成を目指そうという方針を掲げてきている。こうした中で、再生可能エネルギーについて、地域との共生と国民負担の抑制を図りつつ、主力電源として最大限導入することが政府の基本方針だ。その上で、エネルギーのサプライチェーン強靱化の観点から、我が国の技術自給率向上につながる国産再エネを普及させていくことが重要だと思っている。国産再エネの普及に加えて、サイバーセキュリティ、認証制度も新しく導入するところでも検討を進めており、特定国に依存しない強靱なエネルギー供給構造を実現し、再生エネルギー導入拡大に取り組んでまいりたい。(柳ケ瀬)委員の問題意識は大変私も共有するところだ。今の電力事情が大丈夫かということだが、注意しながら、認証制度も新しく検討を進めながら、しっかりとしたエネルギーの供給確保に努めてまいりたい」と答えた。
柳ケ瀬議員は時折呆れたような苦笑いを見せながら「非常に残念な答弁だ。全く危機意識ないですよね。ないじゃないですか。これだけ太陽光パネルに中国製の不審な通信機器が搭載されているみたいなことが報道されており、各国は警戒している。ちゃんと抑止・予防するということは当然必要なことであって、調査してほしい」と述べた。
(ABEMA NEWS)
ABEMA TIMES編集部