定年後は、同じ会社に残る「再雇用」か、新たな環境でチャレンジする「再就職」か、実際にはどちらの道が多く選ばれているのでしょうか。
本記事では、給与の違いなど、「再就職」と「再雇用」の実態を比較しながら解説します。
再就職・再雇用とは?
定年後の働き方として主に挙げられるのが「再雇用」と「再就職」です。
「再雇用」とは、定年を迎えた従業員が元の会社と再び雇用契約を結び、引き続き働くことを指します。多くの場合、役職や業務内容、給与水準が定年前とは異なります。
一方で「再就職」は、定年退職後に、元の会社とは別の企業や団体に新たに雇用される働き方です。これまでの経験やスキルを生かし、新たなキャリアを築く機会となるため、近年注目されている選択肢の一つです。
再就職と再雇用、どちらの方が給与は高い?
株式会社リクルートのジョブズリサーチセンターによる「シニア層の就業実態・意識調査2023」を基に、定年後の就業で継続雇用または再就職した人の個人年収の割合を表1でまとめました。
出典:株式会社リクルート「シニア層の就業実態・意識調査2023」より筆者作成
このことから、継続雇用(再雇用)されている人の方が、年収は高い傾向にあることが分かりました。
同様に継続雇用者向けの給与変化に対する質問では、「50~75%未満」の減少が43.3%と最も高く、「100%以上」と回答した人は14.1%にとどまりました。およそ8割以上の人で給与が減少しているため、再雇用後の役職や責任範囲の変更、労働時間短縮などが影響していることが分かります。
一方、厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」によると、再就職で転職した人の賃金が「増加した」と回答した人の割合は、60~64歳で14.6%、65歳以上で18.7%なので大きな差は見られません。
ちなみに「減少した」と回答した人は60~64歳で61.2%、65歳以上で69.0%、「変わらない」と回答した人は60~64歳で24.0%、65歳以上で12.3%でした。
大企業で働いていた人が経験やスキルを生かして中小企業へ再転職した場合、給与がアップすることもあるようです。つまり、給与水準を維持したいのであれば、自分のキャリアを生かした再就職先を適切に選ぶことが重要です。