毎年、多くの人を苦しめる花粉症。スギ花粉症患者が多い日本では、大量に植林されたスギがその後の林業政策の転換によって放置された結果、被害が深刻化したという歴史的背景から「人災」という声も強い。
中国でもいま、国策によって花粉症被害が拡大したとして、国民の怒りを呼んでいる。
「緑の長城」の裏で
環境系メディア「アース・ドット・オーグ」によると、中国では北部のゴビ砂漠の拡大とそれに伴う砂嵐の被害を食い止めるため、1978年から「緑の長城計画」を実施している。
40年間で3000万ヘクタール以上の植林がなされたこの取り組みは、砂嵐の発生頻度を大幅に減少させるなど、一定の成果を挙げているという。
しかし、植林に用いられるヤナギやポプラなどの木は、大量の花粉を放出し、アレルギーを引き起こすことで知られる。
米メディア「ブルームバーグ」によると、中国全体の成人の花粉症有病率は18%だが、緑の長城近くの楡林市では27%、内モンゴル自治区では32%にのぼるという。
有病率の高い一部の地域では、花粉を出さない種類の木へと植え替えが進んでいる。しかし、財政に余裕のある都市部と貧しい農村部で進捗に差が見られるという。
また、専門家は、「花粉は一陣の風で数十〜数百キロも遠くまで飛び散ることがある」として、部分的な植え替えだけでは問題は解決しないと指摘している。
COURRiER Japon