【カイロ=佐藤貴生】サウジアラビア国営の世界最大の石油会社サウジアラムコの国内証券取引所に新規上場する際の価格が、12月5日に公表される。アラムコはまず、国内の個人向けに全体の1・5%を販売。公募価格から算定した調達額は240億~256億ドル(約2・6兆~2・8兆円)となり、2014年にニューヨーク証券取引所に上場した中国電子商取引最大手アリババグループの約250億ドルを抜き、歴代最高となる可能性がある。
アラムコの新規株式公開(IPO)は石油大国サウジに海外投資を呼び込む起爆剤となり得るだけでなく、ムハンマド皇太子が進める国内改革にも影響を与えそうだ。
「(サウジの金融市場に)飛躍をもたらす」
サウジのサルマン国王は20日、アラムコのIPOについてこう意気込んだ。国政助言機関「諮問評議会」の演説内容として国営通信が伝えた。
アラムコは公募価格を1株30~32リヤル(約870~930円)に設定した。発行済み株式総数は2000億株という。12月4日まで市場の需要動向を見極め、英米金融大手の顧問団と協議し、5日に最終的な価格を公表する予定だ。
ロイター通信によると、アラムコは企業価値を1・6兆~1・7兆ドルと想定しており、時価総額1兆ドル超の米アップルや米マイクロソフトを抜く可能性がある。