“危険発言”も飛び出した韓国大統領選、最後のテレビ討論…候補者同士が激しい非難の応酬


「大法院(最高裁)で有罪判決が出ると、大法院長を弾劾すると言い出し、大法院判事の数を100人に増やそうとしている。」(キム・ムンス候補=国民の力)

「赤いユン・ソンニョルが通り過ぎた跡を、青いユン・ソンニョルで埋めることはできない。」(イ・ジュンソク候補=改革新党)

「今の政治は上位10%の既得権を守る一方で、残り90%の市民とは乖離している。」(クォン・ヨングク候補=民主労働党)

韓国大統領選に立候補している「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)候補と「国民の力」のキム・ムンス(金文洙)候補は、27日に開催された候補者による最後のテレビ討論会で激しい攻防を繰り広げた。イ・ジェミョン候補はキム・ムンス候補に対し、「非常戒厳」を内乱と見るかどうか、ユン・ソンニョル(尹錫悦)前大統領との決別の意思があるのかを問い詰め、繰り返し圧力をかけた。一方、キム・ムンス候補は、共に民主党内でチョ・ヒデ大法院長に対する弾劾や大法院判事の増員立法が推進された点、またイ・ジェミョン候補がさまざまな不正疑惑に関与しているとされる点を集中的に問題視した。

改革新党のイ・ジュンソク(李俊錫)候補は、双竜グループの対北朝鮮送金事件などを巡りイ・ジェミョン候補への攻勢に集中しつつも、キム・ムンス候補や国民の力に対しては非常戒厳の責任を指摘し、距離を置く姿勢を見せた。この日の政治・安全保障をテーマとした最後のテレビ討論では、相手候補に対する厳しい非難も飛び交った。

中央選挙放送討論委員会は同日夕方、ソウル市麻浦区のMBCスタジオで大統領選候補者招請テレビ討論会を開催した。18日の経済、23日の社会分野に続き、今回が最後。政治分野をテーマに進められた。

イ・ジェミョン候補はキム・ムンス候補を狙い、「チョン・ホヨンという人物を迎え入れたそうだが、光州(5・18)の虐殺の主犯だ」とし、「内乱首謀者であるユン前大統領の中枢中の中枢であるユン・サンヒョン議員を共同選挙対策委員長に迎えたが、内部の混乱で取りやめたようだ」と述べた。続けて「キム・ムンス候補はユン前大統領の離党、除名については一言も言えず、ユン前大統領は離党しながら『キム・ムンスを助けて当選させてくれ』と議員たちに電話して指示までした」と主張した。

これに対しキム・ムンス候補は「まったく根拠のない話だ」と反論し、「そのまま言わせてもらうと、イ・ジェミョン候補こそが不正腐敗・犯罪の首領という批判を免れられない。起訴状や判決文にすべて出ている」と述べた。また、ユン前大統領の恩赦に関するイ・ジェミョン候補の質問に対しても、「まったく的外れの質問だ。今まさに裁判を始めた人に対して恩赦するかと問うこと自体が成立しないし、適切でもない」とした。

イ・ジェミョン候補が再び「ユン前大統領と決別するのか。本当にしないのか」と問うと、キム・ムンス候補は「ユン前大統領はすでに離党した。何の関係もない」と述べ、「すでに本人が自ら党を去った。いない人とどうやって決別するのか」と話した。

キム・ムンス候補も反撃に出た。キム・ムンス候補はイ・ジェミョン候補に対し、「(自分に)有罪判決が出ると判事を弾劾し、特別検察を導入するとは、どこの独裁者がそんなことをするのか」と述べた。さらに「自分の犯した罪を有罪と判断すると、大法院長まで弾劾し、特検を導入し、国会の聴聞会に呼び出すとは、こんな無法地帯がどこにあるのか」とし、「証拠がなければ裁判を受ければいい。なぜ大法院長を弾劾するのか。なぜ(民主党は)大法院判事の数を30人、100人に増やそうとするのか。大法院の判断が気に入らないから憲法裁判所に持ち込んで“4審制”をやろうというのか。これは法治を揺るがすものだ」と主張した。

これに対しイ・ジェミョン候補は「検察が何の証拠もないまま私を苦しめ、そのようなイメージを作るために不当な起訴をしたからだ」と述べ、「大法院長に対する特別検察や弾劾を指示したことはなく、大法院判事数を増やす法改正も問題があると判断し、保留するよう指示した。私の指示で進められたかのように言わないでほしい」と語った。

イ・ジュンソク候補もこの日の討論のかなりの時間をイ・ジェミョン候補に割き、圧力をかけた。イ・ジュンソク候補は、イ・ジェミョン候補が京畿道知事だった当時に起きた「双竜グループによる対北朝鮮送金」事件を取り上げて追及した。

イ・ジュンソク候補は「HMMの前身である現代商船が過去に対北事業を手掛け、2億ドルほどの資金が使われ、企業が揺らいだことがある。今なら大きな問題になっていただろう」と述べ、「双竜の対北送金でイ・ジェミョン候補が困難に直面している。イ・ジェミョン候補が大統領になっても、アメリカへの入国が制限される可能性がある」と主張した。これは、イ・ジェミョン候補が知事だった当時に対北送金に関与したとされるイ・ファヨン元京畿道平和副知事が、控訴審で懲役7年8カ月の重刑を言い渡されたことを念頭に置いた発言である。

イ・ジュンソク候補はさらに「対北送金は米国の制裁対象となる問題になり得る」とし、「こうした問題のせいでイ・ジェミョン候補が大統領になれば、不利な状況に置かれるだろう」と述べた。加えて「トランプ米大統領がイ・ジェミョン候補の当選を黙って見ているだろうか」「(イ・ジェミョン候補自身の)司法リスクのせいで韓国が危機に陥っていいのか」と批判した。

これに対し、イ・ジェミョン候補は「私が対北送金に関与したというのは何の根拠もない話だ」と反論した。「彼ら(双竜グループ)が私のために送金したというのは信じられない話だ」とし、「株価操作で捜査を受ける中、対北送金の話を持ち出したものだが、真相は明らかになると考えている」と述べた。

このほかにもイ・ジュンソク候補は、イ・ジェミョン候補が中央政界に進出してから、民主党主導で一方的な立法処理が増えた点や、いわゆる「ホテル経済学」の根拠などを取り上げ、イ・ジェミョン候補と激しい論戦を繰り広げた。

一方、大統領選挙を前にして最後に開催されたこの日の討論では、出席した候補者全員が討論の一線を越える「危険な」発言をし、論争が予想されている。

イ・ジュンソク候補は、イ・ジェミョン候補の過去の発言を問題視し、女性の性器に関連する表現を討論の素材として用いた。これに対して民主労働党側は討論会直後に即座に声明を発表し、「青少年や女性をはじめすべての国民が視聴する討論会で、イ・ジュンソク候補がとても口にできないような発言をした」として、同候補の辞退を求めた。

イ・ジュンソク候補はさらに「イ・ジェミョン候補がツイッター(現X)などに書いた表現だ」として、「便器に頭を突っ込め」「精神病院に送れ」といった発言を紹介した。

イ・ジェミョン候補もイ・ジュンソク候補に対し、「非常戒厳」当日に国会での戒厳解除表決に参加しなかったことを取り上げ、「イ・ジュンソク候補は酒を飲んでから家に帰ってシャワーを浴びて時間を稼いでいたというが、理解できない」と批判を展開し、ホ・ウナ前代表ら改革新党幹部らの離脱を問題視した。

キム・ムンス候補は、イ・ジェミョン候補の不正疑惑に言及し、「『アシュラ』という映画が本当に城南市を象徴するような作品だ」と述べた。「アシュラ」は各種の権力型不正や殺人まで描かれた悪徳市長の不正を題材とした映画で、キム・ムンス候補はこれを城南市のケースに例えた形だ。続けて「イ・ジェミョン候補は京畿道・城南市を非常に腐敗した場所にしてしまった」と述べ、「周囲の人々はみな不正に関与し、刑務所に入れられ、多くの人が捜査を受ける中で突然亡くなった。イ・ジェミョン候補は辞退すべきだ」と主張した。

(c)KOREA WAVE/AFPBB News

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