トランプ政権が、アメリカへ留学を希望する学生のビザについて、審査に必要な面接の受け付けを一時停止するよう指示を出したと複数のメディアが報じました。影響は全世界の留学生に及ぶことになります。
■“契約打ち切り”で圧力強化か
ハーバード大学で27日に行われた抗議デモ。参加者のほとんどがアメリカ人の学生だとみられます。留学生が声を上げれば、トランプ政権からどんな仕打ちを受けるか分からないからです。
ハーバード大学生 ジェイコブ・ミラーさん 「ユダヤの歴史が物語っています。アイデンティティーを理由に学校から排除する行為は、道徳的に破綻した政治の表れです。“反ユダヤ主義への対処”が政策の根拠だなんて馬鹿げている」
ハーバード大学生 クライヴ・ローレンスさん 「トランプは公民権を後退させる危険な行進を始めています」
反発が起きれば、より強い力で抑え込もうとするのがトランプ大統領です。政府機関に対して27日、ハーバード大と結んでいる契約全ての打ち切りを指示したと報じられています。
さらに、問題はハーバードだけのものではなくなってきました。今度は全米の留学生を対象に締め付けを行うつもりかもしれません。
■SNS投稿の審査も検討か
アメリカ政治メディア『ポリティコ』 「トランプ政権がソーシャルメディア審査の拡大を検討し、新規学生ビザの面接を一時停止した」
報道によると、お達しを出したのはルビオ国務長官。27日付の文書を各国のアメリカ大使館に送ったといいます。目的は、留学希望者がSNSでどんな投稿をしているのか、審査を義務化する検討に入っているため、その内容が決まるまでは面接をしない、つまり学生ビザを与えないということのようです。
在日アメリカ大使館によると、その対象は小学生〜大学院生まで全ての学生に及んでいるといいます。
アメリカ国務省 ブルース報道官 「どんな人物が、なぜ入国するのか。国として知る権利がある。入国希望者の滞在中に何をするのかを把握したい」
アメリカの大学を目指す留学生は2023年度に初めて110万人を突破し、過去最多になっています。学力の礎というだけでなく、“自由の国”アメリカの価値観を母国に持ち帰ることも、アメリカにとって大きな意味を持っていたはず。その門戸に自ら“検閲”を設けることになります。
今は時限的措置ですが、今後、SNS審査をめぐってどのような基準が設けられるかは不透明です。全米の大学にも日本人の留学を支援してきた進学塾に話を聞くと、不安を抱く人もいるようです。
クリムゾン・エデュケーション 松田悠介社長 「今、受講生500人くらいいる。数人は親御や生徒から問い合わせがあった。『このままアメリカを受験して大丈夫なのだろうか』と。過去のSNSの情報等をチェックすることも示唆している。アメリカに敵対的な投稿を『いいね』とか、リツイートすることの危険性はある。強制することはできないが、不要なSNSの発信は気を付けようと」
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