十二月大歌舞伎 主演の玉三郎 阿古屋「音楽的な要素が重要」


■白雪姫「歌舞伎らしいものに」

 東京・歌舞伎座で来月2日に初日を迎える「十二月大歌舞伎」で、「壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)」の阿古屋(あこや)と「本朝白雪姫譚話(ほんちょうしらゆきひめものがたり)」の主人公を演じる歌舞伎俳優、坂東玉三郎が公演の見どころを語った。

 豪華絢爛(けんらん)な義太夫狂言の名作「阿古屋」は実際に琴、三味線、胡弓といった楽器を奏でながら細やかな心情を表現しなければならないため、女形屈指の大役とされる。「音楽的要素というものが非常に重要。曲が弾ければいいわけではなく、阿古屋を演じる人も音楽的なものをもっていないといけない」という。

 昨年の「十二月大歌舞伎」に引き続き、今年も中村梅枝、中村児太郎と日替わりで阿古屋を勤める。昨年までは20年以上に渡り、玉三郎のみがこの大役を演じてきた。

 玉三郎は最近、後進の指導にも力を入れている。「(若手2人が)せっかくできるようになったのだから、10年、20年先になるよりも、続けてやってしまった方がいいのでは」と、今年も3人が阿古屋を演じることになったという。

 夜の部では、グリム童話が初めて本格的な歌舞伎として上演される。江戸より少し前の時代設定で「題材はグリム童話(「白雪姫」)からもらっているが、新しく書き換えてもらい、歌舞伎らしいもの」にすると意気込んだ。

 劇中に登場するこびとは子役が演じ、歌も披露。曲はオペラ「魔笛」からとっているという。12月26日まで。(水沼啓子)



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