「また、高層ビルができるの……?」
そう思う人も多いかもしれない。
六本木ヒルズの隣、「六本木五丁目西地区」と呼ばれる場所に、いわゆる「第2六本木ヒルズ」が誕生する。「ヒルズ」と名の付いていることからも分かるように、ディベロッパーは森ビルで、住友不動産も開発に加わっている。
【画像】ガラガラってほんと? 麻布台ヒルズの「今」を見る、第2六本木ヒルズはどうなる? 東京ドーム23個分の超巨大再開発(7枚)
開発される土地の面積は約8万平方メートルで東京ドーム1.7個分。建設されるビルの延べ床面積を合わせると約108万平方メートル、つまり東京ドーム23個分ほどになる。明らかに、超大型開発といえるプロジェクトだ。2025年度に着工し、2030年度の開業を予定している。
しかし、世間の森ビルに対する風当たりは、あまり良くない。
2023年に誕生した「麻布台ヒルズ」は、「ガラガラだ」「廃虚化している」という声が多く寄せられており、メディアでは散々な書かれ方がされている。そんな中で出てきたのが、「第2六本木ヒルズ」計画なのだ。
ただ、筆者が実際に麻布台ヒルズを訪れてみて気付いたのは、「そこを訪れる人は着実に増えているのではないか」ということだ。それと同時に、メディアでの報じられ方と現実の姿に、どこか乖離(かいり)があるような気がした。
つまり、森ビルは必要以上に「嫌われている」気がするのだ。
それはなぜなのか。今回はその理由について考察したい。
麻布台ヒルズは、本当に「ガラガラ」なのか?
久々に麻布台ヒルズを訪れた。
南北線の六本木一丁目駅からも行けるが、それだと少し遠いため、直結している日比谷線の神谷町駅から行くのが一番早い。麻布台ヒルズが誕生した当初は、その認知はまだ低く、「場所が微妙だ」という評価もあった。確かにその評価は間違いないと感じるが、開発側は「地下鉄から直結しているので行きやすく、問題ない」と考えたのだろう。
麻布台ヒルズの中に入ると、多くの人がいる。そのほとんどが外国籍の人だ。私が訪れたのが平日だったことも関係しているのだろう。
特に人が多いのが、「チームラボ」の展示だ。チームラボは外国人観光客に大人気で、豊洲にある「チームラボプラネッツ」は、インバウンド需要に関するニュースサイトである訪日ラボの「インバウンド人気観光スポットランキング」で1位を取ったほどである。麻布台ヒルズの開業当初から、「チームラボの展示だけは人が多い」と言われていたが、その人気ぶりは今も健在だ。
その影響もあって、他のエリアにもかなりの外国人観光客がいた。アート作品も至る所で展示されており、それを撮影する人も多い。特に目立っていたのが、飲食店の行列だ。特に和牛料理やとんかつなどの日本食店は、昼時ともなると長蛇の列ができていた。
以前、私が麻布台ヒルズを訪れた時は、館内全体にインバウンドの波が来ているとは言い難かった。ただ、開業から1年以上が経過し、徐々にその存在が外国人観光客のコミュニティーにも知られてきたのだろう。
麻布台ヒルズのみを対象にしているわけではないため参考程度ではあるが、森ビルの決算を見てみると、その賃貸収益は昨年から増加しており、苦戦している様子はうかがえない。