大規模な設備基盤産業の不況長引く…SK、LGなど韓国企業「非常事態」


二次電池・化学・精油業界、自力救済策作り

 低迷のトンネルの中にある韓国製造企業の危機感が高まっている。米トランプ政権の「爆弾関税」は免れたが、不況が続く巨大装置産業(大規模な設備を基盤とする産業)である二次電池・化学・精油業界が代表的だ。新政権で構造調整が本格化する可能性があるとの見通しもある。

 1日の業界の話を総合すると、3業種は今年下半期にも不振が続くとみられる。中国向け輸出の割合が40%(昨年基準)に達する石油化学業種は、中国の供給過剰と需要の鈍化で業況回復の時点がますます遠ざかっている。産業研究院のチョ・ヨンウォン研究委員は「原油価格下落はポジティブな傾向だが、韓国内需と中国景気が低迷し、増加傾向だった対インド輸出の量もパキスタンとの対立などで鈍化していることが問題」だとして「世界の市況の改善見通しも当初は2028年だったが、それ以降に延びる様相」と話した。

 石油化学企業は精油会社が原油を精製して生産したナフサを原料として使用し、合成素材の原料であるエチレン・プロピレンなど基礎化学製品を作る。最近の国際原油価格の下落でナフサ価格が下がり原価負担は減ったが、収益性の回復には足りない。

 精油業界も燃料・ナフサなど石油製品の需要の鈍化と精製マージン(石油製品の販売価格-原油購入・精製の費用)下落で頭を悩ませている。精油会社は原材料である原油価格よりも製品の販売価格が大幅に下がり、高い時に買い入れた在庫資産の評価損失などで収益性が悪化ししていることで、引き締めに入っている。原油高の時期の「超過利潤税」を徴収しようという話まで出てきた2~3年前とは全く違う状況だ。

 二次電池業界は、米国・欧州など主要市場での電気自動車(EV)販売の増加傾向にも笑えない様子だ。リン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーを前面に掲げた中国企業の躍進により今年第1四半期(1~3月)の世界のEV用バッテリー市場(中国市場を除く)シェア1位を奪われ、米国のEV購入補助金の早期廃止の可能性も大きくなったからだ。

 不況からの脱出が遅れていることで、各企業も自力救済策作りに躍起になっている。SKイノベーションは先月28日、就任して1年半にもならない最高経営者(CEO)を電撃的に交替した。構造調整に速度を上げるというグループの意志が反映されたものと分析される。子会社を通じて精油・化学・二次電池事業を行う同社は、昨年第2四半期から今年第1四半期までに累積営業赤字が3538億ウォン(約369億円)となった。

 石油化学を主力とし、二次電池の子会社を持つLG化学も状況は変わらない。昨年から今年第1四半期まで米国政府から2兆ウォン(約2080億円)規模の補助金(先端製造生産税額控除・AMPC)を支援されたおかげで営業黒字を出したLGエナジーソリューションの実績を除けば、本業である石油化学部門で毎四半期に数百億ウォン(数十億円)台の営業赤字を出しているためだ。優良な部門である水処理事業部の売却などを推進しているのもこのような背景からだ。

 しかし、野党「共に民主党」や与党「国民の力」など主要大統領候補らの公約には、危機産業の支援・管理策は具体的に提示されていない状態だ。与党のキム・ムンス候補が、特別法の立法を通じた構造調整支援の意志を明らかにしている程度だ。産業研究院のファン・ギョンイン副研究委員は「企業の設備投資後、実際に利益を出すまで時間がかかるだけに、業況が良くない時は政府が呼び水の役割をすることが必要だ」と語った。

パク・チョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )



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