ロシアが東部チャシウヤールで攻撃激化 「儀仗兵部隊」も投入、戦争やめる気配なし


このところとくに激しい戦闘が行われているのは、ウクライナ東部ドネツク州の都市チャシウヤールである。チャシウヤール攻防戦は1年以上続いており、ロシア軍は現在、市のかなりの部分を支配している。そして、ここへきて市の全域を制圧すべく攻勢を強めている。

チャシウヤールの状況ははっきりしない面がある。ロシア軍は2024年4月にこの都市への攻撃を開始し、ロシアの独立系メディア、モスクワ・タイムズは2025年1月29日、ロシア軍が陥落させたと報じた。しかし、米シンクタンク、戦争研究所(ISW)は撮影場所が特定された映像をもとに、ウクライナ軍は現地で戦闘を続けており、市の南側を保持していると報告している。

チャシウヤールでの戦闘は、ほぼ無人と化した小さな都市での市街戦という性格上、必然的に激しいものになっている。市内の建物は、前後左右に加えて上下にも展開する3次元の戦場をつくり出し、敵の攻撃から身を守ったり敵の目をさえぎったりする場所にもなる。一方、路地は動きが制約されるチョークポイントになる。さらに、ドローン(無人機)の導入が戦闘をさらに複雑にしており、ウクライナ軍はそれを広範に使用してロシア軍の攻撃を押し返している。

■儀仗兵部隊、装甲車両、最新ドローン

ロシア軍はこの数週間、チャシウヤールに対する攻撃を強化している。その一環で、ロシアは連邦警護庁(FSO)に所属する「大統領連隊」の部隊を増援に送り込んだ。大統領連隊は自動車化狙撃旅団と同じくらいの規模で、通常はクレムリン(ロシア大統領府)の儀仗任務に従事している。精鋭とはみなされていないものの、大統領連隊の投入は、ロシア軍がチャシウヤール攻略に向けた勢いを維持するために、儀仗部隊すら転用して穴埋めやマンパワー(人的戦力)不足への対処を図っていることを示している。

ウクライナ軍当局も、ロシア軍による攻撃が増えており、それには装甲車両を使用したものも含まれると報告している。1日の強襲回数は以前の3〜5回から7~9回に増えているという。ロシア軍では装甲車両が不足し、ほかの方面でもニーズが高いことを踏まえると、チャシウヤールでの攻撃に装甲車両も投入されているのは注目に値する。



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