イスラエルの空爆で子供9人失った医師、重体の末に死亡 ガザ南部


夫妻でガザ地区南部ハンユニスのナセル病院で勤務していたハムディ・アル・ナジャール医師は、妻アラア・アル・ナジャール医師をナセル病院に送り届けた直後、自宅に戻ったところでイスラエルの攻撃に遭った。

この攻撃で子供9人が死亡し、10人目の子供は重傷を負った。 ハムディさんは脳と内臓に受けた重傷のため、死亡した。家族のうち、妻アラア医師と、現在も入院中の息子アダム君(11)が残された。

ナセル病院で働くブルガリア人医師のミレナ・アンジェロヴァ=チー医師は5月下旬にBBCに対して、爆撃のためハムディ医師が脳と肺と右腕と腎臓に重傷を負ったと話していた。

イスラエル国防軍(IDF)は当時、事態を調査中だと述べていた。

イスラエル国防軍(IDF)軍は24日、ハンユニスで「複数の容疑者を標的に空爆を実施した」と発表し、「民間人への被害に関する申し立てについては現在調査中」だと説明している。また、「ハンユニス地域は危険な戦闘地帯で、作戦開始前に民間人の安全確保のため避難を呼びかけていた」と述べている。

IDFは当時の声明で、「ハンユニス地域で、兵士らの近くの建物で活動中だとIDFが特定した容疑者数名を、軍機が攻撃した。この地域は危険な戦闘地域で、市民の安全確保のため、市民は事前に避難させられていた。無関係の個人への被害については調査中だ」と述べていた。

攻撃から間もなく、アダム君の手術を担当したイギリス人医師グレアム・グルーム氏は当時BBCに対して、小児科医として子供を助けるために長年働いてきたアラア医師が、自分の子供のほとんどを一発の攻撃で失うなど、「耐えられないほど残酷」だと話していた。

グルーム医師によると、アダム君は「左腕がかろうじて体についている状態で、破片による傷が体中にあり、重度の裂傷が複数あった」という。

「両親が医師なのでガザ地区では恵まれた境遇にいるかに思えても、(アダム君を)手術台にのせたとき、11歳とは思えないほど体は軽かった」とも、医師は述べた。

イタリア政府は5月29日、アダム君のおじのアリ・アル・ナジャール医師の要請を受け、治療協力を申し出た。アリ医師はイタリア紙「ラ・レプッブリカ」に対し、ナセル病院にはアダム君を治療するための設備が整っていないと話していた。

「設備の整ったガザ地区の外の病院に、(アダム君を)ただちに搬送する必要がある。イタリア政府には何とかしてほしい。彼を受け入れてほしい。イタリアの人たちに助けてほしい」と、アリ医師は呼び掛けていた。

イタリア外務省は、「重傷を負った少年をイタリアへ移送する意向を、イタリア政府は表明した」と声明で述べ、計画の実現可能性を検討していると付け加えた。

イスラム組織ハマスが2023年10月7日にイスラエルを攻撃したのを機に、イスラエルはガザ地区で軍事作戦を開始した。ハマスの攻撃では約1200人が死亡し、251人が人質となった。 ハマスがガザ地区で運営する保健省によると、イスラエルの攻撃によってガザ地区ではこれまでに少なくとも5万4418人が殺害された。

(英語記事 Gaza doctor whose nine children were killed in Israeli strike dies from injuries)

(c) BBC News



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