ロシアによるウクライナ侵略を巡る和平に向けた両国の高官級協議が2日、トルコのイスタンブールで行われ、双方が停戦条件を提示した。ロシア側の全文を入手したタス通信によると、ロシアはウクライナの中立化や軍事力の制限を前提に、ウクライナ軍の完全撤退や東・南部4州などの領土割譲を含む厳しい要求を突きつけていることが判明した。
ロシアは、一方的に併合を宣言したウクライナのクリミア半島や東・南部4州がロシアに帰属するという国際的な承認や、北大西洋条約機構(NATO)を念頭に軍事同盟への加盟断念などを求めている。
その上で、停戦条件として二つの案を提示。一つは同4州からのウクライナ軍の撤退で、もう一つは、軍の動員や外国からの軍事支援停止など10項目を一括で提案している。
ウクライナが求めてきた30日間の停戦は、ウクライナ軍の撤退開始によって設定されるとしている。和平条約の署名に先立ち大統領選の実施も求めている。
一方、ロイター通信によると、ウクライナ側は、全面的かつ無条件の即時停戦を和平交渉の前提としている。ロシアによるクリミアや4州の領有が国際的にも認められていないことや、ウクライナが「中立」を強制されないことを明記している。
協議終了後、ウクライナ側代表団を率いたルステム・ウメロフ国防相は重傷者や若い捕虜らの交換のほか、戦死者の遺体返還で双方が合意したと明らかにした。即時停戦では進展はなく、ウメロフ氏はSNSへの投稿で「ロシアは人殺しをやめる提案すら拒んだ」とロシア側の対応を批判した。
一方、露側代表団トップのウラジーミル・メジンスキー大統領補佐官は協議後、遺体収容のため、前線の一部地域で2~3日間の停戦を提案したと記者団に明らかにした。ウクライナ側は次回協議を6月末までに開催することを提案したという。