■地方から消えていく若い女性
「東京が令和だったら、地方は江戸時代って思ってて。家のことは女の人がやって、外のことは男の人がやるみたいな。男だから女だからっていうのをやめてほしい」
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これは、ある山形県出身の19歳の女子大学生がインタビューで答えた言葉。この女子学生は現在、大学がある北海道で暮らしていますが、将来的にも地元の山形を出たい気持ちが強いといいます。
地方出身の女性が地元を離れて暮らす――。こうした動きは、いま全国で加速化。総務省の調査などでは、首都圏・大阪・愛知・福岡を除く、すべての道府県で若年層の女性(15~39歳)の転出人口が転入を上回っていることがわかりました。地方を離れる傾向は男性より女性に強く、特に就職期の20~24歳の転出が著しくなっています。
■「地方女子」100人にインタビュー
人口減少や少子化にもつながるとされる「地方女子の流出」。こうした事態に危機感を持つ政府は今年4月、地方における魅力ある環境づくりを進めるための会議を新たに立ち上げました。
学者や県知事などで構成される会議の委員には一人、山梨県出身の25歳の女性がいます。「地方女子プロジェクト」の代表、山本蓮さんです。
山本さんはこれまで、自身と同じ「地方女子」100人を対象に、地元を離れた理由や地元に残って日頃感じることなどについてインタビューを実施。「東京が令和だったら、地方は江戸時代」と答えた女子大生のような声を拾い、それをSNS等で発信する「地方女子プロジェクト」という活動を続けています。
山本さん「結婚して子どもを産む女性が、どう戻ってくるかみたいなのは、ずっと議論されていて。でも、そこに当事者の声がないと思って、まずはそこを可視化させたいと思って始めました」
「地方女子の流出」を“食い止める”ことに、国が本腰で取り組み始めた一方で、それを議論しているのは、ほとんどが中年以上の男性、つまり“おじさん”たち。その議論の中に、当事者の声を届けたいとして始めたのが「地方女子プロジェクト」でした。
山本さん「まず『食い止める』みたいな言葉の使い方に、主題が女性たちにないというか。女性たちが、いろんな地域でどう生きたいか、どう過ごしていきたいかみたいな目線ではないというのが、すごく気になります。女性たちの意見が反映されたような環境が、地域としてまず整う、変わっていくということをしないと、問題は解決できないかなと思っています」