韓国の李在明(イ・ジェミョン)新大統領は、就任初日に行った発言で韓日関係に関する自身の姿勢を明確にしました。特に「政策の一貫性」を強調し、事実上、前政権が進めた徴用被害補償方案を維持する意向を示唆しました。
徴用工問題への言及
李大統領は4日、大統領室での会見で、日本の毎日新聞記者からの質問に対し、「国家間の関係は政策の一貫性が特に重要だ」と述べました。また、「国家間には信頼問題があるので、そうした点を考慮せざるをえない」とし、個人的な信念よりも国家間の信頼に関わる問題では政策の連続性を維持する考えを示しました。
第三者弁済解決法への姿勢
この発言は、2023年3月に尹錫悦(ユン・ソクヨル)前政権が発表した強制徴用訴訟の「第三者弁済解決法」を基本的に受け入れる姿勢と解釈できます。この方案は、勝訴した被害者に対し、行政安全部傘下の日帝強制動員被害者支援財団が日本戦犯企業の代わりに判決金などを支給するものです。財源は日韓民間の自発的寄与によるものですが、日本企業の参加はまだありません。しかし、大法院(最高裁)で勝訴した被害者のうち、故パク・ヘオクさんを除く大部分がこの解決法を受け入れています。
韓国 李在明大統領就任初日の鳳凰旗掲揚
慰安婦問題を含む過去史への言及
さらに李大統領は、質問にない慰安婦問題にも触れ、「強制徴用問題、ここには慰安婦問題のようなものも含まれるだろう」と述べました。これは、朴槿恵(パク・クネ)政権時の慰安婦合意についても、大きな枠組みで尊重する可能性を示唆するものとみられます。文在寅(ムン・ジェイン)前政権も合意に「重大な欠陥がある」としつつも、公式合意として維持する立場でした(2021年1月記者会見)。
韓日関係全般への実用的アプローチ
韓日関係全体については、「残念なことに過去史問題、独島(トクド、日本名:竹島)領土問題で葛藤はあるが、日韓はさまざまな面で共通の利害関係がある」と指摘。「韓日関係も実用的観点が必要ではないか」との考えを示しました。「基本的に協力することは協力し、整理することは整理して、可能なら懸案を蒸し返さないほうがよい」とし、過去史には断固対応しつつ、これとは別に未来志向の協力を追求する「ツートラックアプローチ」を外交原則とする姿勢です。
結論
李大統領はこれまで前政権の対日外交を「日本の歴史ロンダリングに率先して加担している」(昨年8月フェイスブック)として強く批判していましたが、就任初日の発言で韓日協力の重要性と政策の連続性を強調したことは、今後の外交において安定と実用主義を重視する姿勢の表れと言えるでしょう。