今秋に結婚式を控えていた韓国の女性が犬に襲われ、精神的・肉体的な後遺症で式を延期せざるを得なくなった。しかし、それ以上に被害者を苦しめているのは、加害犬の飼い主による無責任かつ不誠実な態度である。この事件は、韓国のニュース番組「JTBC 事件班長」で報じられ、社会に波紋を広げている。
事件の発生状況と被害の詳細
事件は6月6日、慶尚北道慶州の路上で発生した。女性が帰宅途中、1匹の珍島犬が道路を横断しているのを目撃した。その犬を追いかけていた高齢女性(飼い主とされる)に助けを求められ、女性は車を降りて犬に声をかけたところ、突然攻撃を受けた。
防犯カメラの映像には、犬が女性に飛びかかり、執拗に噛みつく衝撃的な様子が映っていた。傍にいた高齢女性や通りすがりの男性が必死になって引き離そうとし、最終的には女性の婚約者が車から飛び出してようやく犬を制止できた。
被害女性は当時の状況を振り返り、「あの犬が道路を徘徊しているのを以前からよく見かけていた。『また逃げたんだな』と思って声をかけたら、予測不能な行動で突然飛びかかってきた。本当に死ぬかと思った」と証言している。
ニュース番組「JTBC 事件班長」で報じられた、韓国での犬襲撃事件に関する映像キャプチャ。被害女性の訴えや現場の状況を示す可能性のある画像。
女性は太ももと腕に激しい咬傷を負い、病院で全治3週間の診断を受けた。怪我の影響は大きく、現在も不眠に悩まされ、精神科での継続的な治療を必要としている。この身体的・精神的な苦痛により、秋に予定していた結婚式も無期限延期となった。
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飼い主の対応とその問題点
事件当初、飼い主の息子は被害女性に対し、「治療費は全額支払う」と約束していたという。ところが、女性がCT検査の必要性を伝えた途端、態度は一変。「大げさだ」「骨でも折れたのか」などと被害の深刻さを否定し、反発し始めた。さらに、狂犬病予防接種の証明書の提出を求めた婚約者からの連絡に対しても、一切の返答を拒否しているという。
被害女性は「向こうは私の怪我を軽い打撲程度にしか認識していないようです。しかし、私は毎日のように通院し、傷跡の治療も必要です。精神的な苦痛も大きく、精神科での治療も受けています。到底、軽い事故とは言えない状況なのです」と、飼い主側の無責任な態度に対する憤りをあらわにしている。
被害者の訴えと専門家の見解
この事態に対し、番組に出演したヤン・ジヨル弁護士は専門家の見解を示した。「今回のケースは、飼い主に明確な過失が認められます。その責任は民事上の賠償義務に留まらず、刑事処罰の対象となる可能性すらあります」と指摘。そして、「飼い主側にとっては、むしろ被害者に対して誠実に、積極的に賠償を行うことこそが、結果的に見て最も賢明な選択ではないでしょうか」と述べ、早期かつ適切な対応を促した。
結論
韓国で発生した今回の犬による襲撃事件は、被害女性に深刻な身体的・精神的ダメージを与え、人生の大きな節目である結婚式まで延期させる事態となった。それにも関わらず、飼い主がその責任を軽視し、不誠実な対応に終始していることは、社会的な非難を免れない。ペットを飼うことの重い責任と、万が一事故が発生した場合の誠実な対応の重要性を改めて浮き彫りにする事件と言えるだろう。
参考文献
KOREA WAVE/AFPBB News
JTBC 事件班長