葛飾区広報紙「こち亀」イラスト問題:メディアが仕掛ける「マッチポンプ・クレイム」とは

東京都葛飾区が発行する広報紙「かつしか」2025年3月15日号掲載、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(こち亀)イラストに複数の抗議が集まっていると報じられました。迷彩ヘリとキャラクターが喜ぶ様子に対し、「戦争を想起させる」「非核平和都市と矛盾」といった批判です。しかし、この報道に先立つ一般の反応は限定的で、SNSや検索トレンドでは大きな話題となっていなかったことが指摘されています。

メディア報道と「複数」の抗議

今回の問題が広く知られたのは、東京新聞報道(5月27日)より、その後の産経新聞による「一部報道で問題視」との報道がきっかけでした。東京新聞が「複数」の抗議があったと報じる一方で、その具体的な数や抗議の広がりについては不明瞭なままです。記事中では、区民有志の「2025葛飾憲法集会実行委員会」や「かつしか人権ネット」といった団体からの抗議が紹介されています。

抗議が寄せられた葛飾区広報紙「かつしか」2025年3月15日号表紙イラスト。こち亀キャラクターと迷彩柄ヘリコプターが描かれている。抗議が寄せられた葛飾区広報紙「かつしか」2025年3月15日号表紙イラスト。こち亀キャラクターと迷彩柄ヘリコプターが描かれている。

「マッチポンプ・クレイム」の構図

こうした状況に対し、一部からは「社会問題を取材したのではなく、自ら社会問題にしようとした」のではないかという見方が出ています。これは、根拠や客観性に乏しい点を「問題」と指摘し、メディア自身が世論やクレイム申し立てを煽ることで、特定の事柄を社会問題化しようとする動きであり、「マッチポンプ・クレイム」と呼ぶべき構造がここに見られるという指摘です。

度々見られる「マッチポンプ・クレイム」の事例

この「マッチポンプ・クレイム」の構図は、近年日本の社会で度々観察されてきました。科学的安全性に反し「汚染」強調で社会問題化したALPS処理水放出、豊洲市場問題などが典型例です。さらには、いわゆる「モリカケ桜」、東京五輪反対、安倍元首相国葬反対、大阪・関西万博反対など、様々な論争で同様の構造が指摘されます。

情報戦との関連性

近年、世界的な緊張の高まりとともに、偽情報や誤情報を用いた情報戦(インフルエンス・オペレーション)が日常に浸透しており、「マッチポンプ・クレイム」がこうした情報工作と結びついている可能性も指摘されています。ALPS処理水問題を巡る「汚染」喧伝には、中露北朝鮮による情報工作の関与が報じられており、北朝鮮スパイ組織が日韓関係破壊・社会混乱目的で処理水反対運動を扇動したとの報道もその一例です。[内部リンク]

結論

葛飾区の広報紙イラストを巡る一連の報道は、メディアが特定の声を取り上げ、話題となっていない事柄を社会問題として提示することで、意図的に議論を喚起する「マッチポンプ・クレイム」の危険性を示唆しています。この構図は社会分断を招き、建設的な議論や問題解決の足枷となりうるため注意が必要です。

出典: https://news.yahoo.co.jp/articles/15f9ceb35ca643863452a3f89aafc9bbf0d82244