大学案内として25年以上多くの読者に選ばれてきた『大学図鑑！』の最新版『大学図鑑！2026』が今年もパワーアップして発売された。現役生・OB・OGら5000人超のナマの声によってつくられた本書は、大学選びの一つの有力な手段として選ばれている。本記事では、『大学図鑑！2026』の内容の一部を抜粋し、日本の政治・社会情勢とも関わる教育の側面から、関東の国公立大学、特に東京大学の実態に焦点を当てて紹介する。
関東地方に点在する名門国公立大学
関東地方には、言わずと知れた東京大学をはじめ、超名門の国立大学が多数存在する。その中でも代表的な存在は、文系の雄である一橋大学と、理系の雄である東京科学大学だろう。これらの大学は、社会においてその大学名が評価の妨げになることはまずなく、国内で無敵とも言える高い信頼度を誇っている。東京科学大学は、統合による名称変更があった際、当初は「まるでFラン大学みたいな名前」といった否定的な声がネットで見られたが、その圧倒的な学力と実績が格の違いを見せつけ、あっという間に世間に受け入れられたのはさすがと言える。その他にも、東京外国語大学や筑波大学といった、独自の特色を持つ大学も高い人気を博している。本記事では、『大学図鑑！』が伝えるこうした関東の主要国公立大学の現状と、そこでの学生生活がどのようなものなのかを探っていく。
関東地方の代表的な国公立大学に関する記事を示すイメージ写真
東京大学：学生たちの知られざる実像と多様な環境
かつては大学名を尋ねられた際に、「いちおう、東大です」と答える東京大学の学生が多かったと言われる。しかし、こうした答え方がかえって反感を買うことがあるため、現在では滅多に言わなくなったそうだ。「東大という肩書やイメージだけで判断されるのではなく、自分自身を見て判断してほしい」という率直な学生の声もよく聞かれる。一方で、「東大生であること」に対するプライドが全くないのかと言えば、決してそうではない。「普通ですよ」と答えても、相手に「へぇ、普通なんだ」と軽く流されてしまうと、途端に不機嫌になってしまうという側面もある。東京大学の学生の中には、幼い頃から特別な英才教育を受けてきた者もいれば、逆にほとんど勉強しろと言われずに育ったという稀なケースもある。しかし、大半の学生は、受験という大きな壁を乗り越えるために、多くの時間や楽しみを犠牲にして必死に勉強に取り組んできた経験を持つ。極端な例では、家にテレビがなく芸能人の名前を知らない、ゲームを一度もしたことがない、といった学生も存在する。そのため、大学に入って初めて様々な社会経験（例えば、いわゆる大学デビューでのつまずきや、初めての恋愛での複雑な人間関係のトラブルなど）に直面し、苦労するケースも見受けられるという。東京大学の最も素晴らしい点、そして他の大学ではなかなか得られない特権は、学内を歩けばごく当たり前に「天才」と呼べるような非常に優秀な学生や研究者に出会える環境があることだ。こうした環境に触れることで、時に自信を失ってしまう学生もいるかもしれない。しかし、多くの場合はそれが強い刺激となり、自分自身の現在の立ち位置や、これから目指すべき方向性を知るための貴重な機会となるのである。このような特別な環境は、まさに日本の最高学府である東京大学ならではのメリットと言えるだろう。
『大学図鑑！』に集められた学生たちの生の声が示すように、関東の国公立大学、中でも東京大学は、単に高い学術的信頼性を持つだけでなく、多様なバックグラウンドを持つ学生が集まり、互いに刺激し合う独特な環境が存在する場である。難関な受験を突破してきた彼らの知られざる学生生活や個性は、現代日本の高等教育の一端、そして社会の一断面を鮮やかに映し出していると言えるだろう。
