【AFP=時事】ドナルド・トランプ米大統領と実業家のイーロン・マスク氏の意外な「ブロマンス(男性同士のプラトニックな親密さ)」は5日、2人がリアルタイムで公然と口論したことで、劇的な形で崩壊した。
トランプ氏は、テレビ中継された大統領執務室での激しい非難の中で、自身の看板政策を盛り込んだ歳出法案「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル」に対するマスク氏からの批判に「大変失望している」と述べ、マスク氏が抱える数十億ドル規模の米政府との契約を破棄すると脅した。
これに対しマスク氏はリアルタイムで反撃。X(旧ツイッター)で、自分がいなければトランプ氏は2024年大統領選に勝利できなかったと主張し、トランプ氏を「恩知らず」と非難した。
争いが激化する中、マスク氏はトランプ氏が「エプスタイン・ファイル」に載っているとも主張した。これは、性犯罪の裁判を待つ間に獄中で自殺した、悪名高い実業家の故ジェフリー・エプスタイン元被告に関する米政府の文書に言及したものだ。
マスク氏率いる電気自動車(EV)大手テスラの株価は、驚くべき論争が激化する中で約15%急落し、企業価値は1000億ドル(約14兆3000億円)以上も吹き飛んだ。
世界一の大富豪と世界で最も強大な権限を持つ米大統領の異例の同盟関係は、いつまで続くのか疑問視されていた。
トランプ氏は、マスク氏が自身の歳出法案を「唾棄すべき忌まわしいもの」と呼んだことについて問われると、10分間の暴言でその答えを世界に伝えた。
トランプ氏は大統領執務室で、訪問中のドイツのフリードリヒ・メルツ首相が見守る中で記者団に対し、「イーロンには大変失望している。私はイーロンを大いに助けてきたのに」「いいか、イーロンと私は素晴らしい関係だった。だが、これからもそうであるかは分からない」と述べた。
トランプ氏が「政府効率化省(DOGE)」の責任者を退任したマスク氏のために、大統領執務室で盛大な送別会を開いてから1週間もたっていない。