韓国銀行は、韓国経済が過去の日本が経験したような長期低迷の経路に近づいている可能性があると警告を発した。5日に公表された報告書「日本経済から振り返る教訓」の中で、韓国銀行は日本の1990年代バブル崩壊前後に見られた構造変化、特に負債、人口、技術という三つの側面が、現在の韓国の状況と大きく異ならないと診断している。
不動産バブルと累積債務:日本の過去と韓国の現在
報告書は、日本経済が1990年代以降20年以上にわたる長期低成長に陥ったマクロ経済的要因として、積み上がった不動産バブルとそれによる負債の累積を指摘した。日本は1980年代後半、製造業から不動産への資金流入が過剰になり、これが不良債権化して1997年の銀行・企業の連鎖倒産を引き起こした。不動産バブル最盛期の1994年、日本のGDPに対する民間負債比率(家計+企業)は214.2%に達していた。報告書は、当時の日本はマクロ健全性規制が不十分で不動産への集中を管理できず、バブル崩壊後も内需浮揚圧力などから構造調整が進まなかったと分析している。
現在の韓国も不動産価格上昇に伴い民間負債が増加し続け、2024年末基準で民間負債比率は202.4%に達している。報告書は、幸い2023年以降は低下傾向にあるものの、過去の日本のバブル期最高水準に近接している状況だとし、緻密なマクロ健全性規制と通貨政策、そして果断な構造調整によって負債比率を厳格に管理する必要があると強調している。
人口減少と高齢化:日本より速い韓国の進行度
日本経済が不動産バブル崩壊に苦しんでいた時期に、出生率低下と高齢化という人口動態リスクも本格化した。日本では1995年から生産年齢人口が減少(総人口は2009年から減少)したが、正規職選好や女性の育児負担などが影響し、潜在的な労働力が雇用市場へ流入するのは非常に遅かった。その結果、潜在成長率と物価は低下し、デジタル化の遅れもあいまって生産性改善が制約された。
韓国の生産年齢人口は2017年、総人口は2020年をピークに減少に転じている。労働投入の潜在成長率への寄与度は2000年代初頭の30%水準にまで縮小した。韓国銀行の評価によれば、少子高齢化への突入時期は日本より遅いものの、その進行速度はより速いという。報告書は、日本が2010年以降に人手不足が本格化してから女性・高齢者・外国人労働者の雇用政策(アベノミクス)を本格化させたことに触れ、対応が遅れるほど景気低迷は長期化すると指摘している。
グローバル変化への適応遅れ:過去の成功体験からの脱却
日本がグローバルな生産システムや通商秩序の変化に追随できず、過去の成長モデルに固執したことも、長期低迷からの脱却を遅らせた要因だと報告書は診断する。戦後、日本経済は垂直統合生産方式と先進国市場への集中により製造業と輸出で急成長を遂げた。しかし1990年代以降、中国を中心とするグローバルな水平分業体制が形成され、韓国や中国など後発国の追い上げが激しくなった。韓国銀行調査局のチャン・テユン課長は、当時日本はグローバルサプライチェーンに積極的に参加せず、既存の方式と市場を守ろうとしたと評価し、その結果、産業競争力と国内生産基盤が弱まり、新しい成長動力の発掘も遅れたと述べている。これは、過去の強力な成功体験が変化への対応や構造改革の妨げとなったことを意味する。
韓国経済も長らく、中国、半導体、そして輸出を中心とする戦略で成長を牽引してきた。チャン課長は、中国の自給率向上による「中国特需」の弱体化や、自由貿易の退潮によるグローバルサプライチェーンの再編など、韓国も既存の成長戦略の有効性が低下しうる状況に直面していると診断を下している。
まとめ:日本の教訓から学ぶべきこと
韓国銀行の報告書は、現在の韓国経済が、かつて日本が長期低迷に陥る前に直面した負債、人口、技術適応という構造的な課題と類似していることを明確に示唆している。不動産バブルとその後の債務問題、急速な少子高齢化による生産性への影響、そしてグローバル経済構造の変化への対応遅れは、いずれも日本の「失われた20年」の主要因であった。韓国銀行は、日本の経験から学び、これらの構造的な問題に対して先制的かつ果断な政策対応を行うことが、長期低迷という経路を回避するために不可欠であると強く警告している。
ソース:
キム・フェスン記者
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