日本のコメ価格高騰を受け、政府は新たな対応策の検討に乗り出しました。先ほど官邸で関連閣僚会議が開かれ、その要因究明と短期・中長期の対応策を検討する方針が示されました。
コメ価格高騰の要因検証と対策を話し合う官邸での政府会議の様子
政府の対応:要因究明と対策検討
官邸で開催された会議では、まず今般のコメ価格高騰に至った要因を詳細に検証することが確認されました。その上で、検証結果に基づいた短期的な対策と、より長期的な視点での対応策を検討していく方針が共有されました。小泉進次郎農水大臣は、これまでの農水省の見通しに誤りがあったことを一部認め、「新米が出てくれば大丈夫だと言って大丈夫じゃなかった」と述べました。
「令和のコメ騒動」からの経緯と批判
コメ価格の高騰は、昨年8月にスーパーの棚からコメが消える「令和のコメ騒動」として表面化しました。当時の坂本哲志農水大臣は、昨年9月の時点で「新米が順次供給されれば価格は落ち着く」との見方を示し、備蓄米の放出には消極的でした。しかしその後も価格は上昇を続け、今年1月には5キロあたり4000円を突破。当時の江藤拓農水大臣は「コメはあるが、どこかに滞留している」と主張し、転売目的の抱え込みなどを指摘しました。2月になってようやく備蓄米の放出が決定されましたが、価格は期待されたほど下がりませんでした。
現場の声と高騰の構造的要因
卸売会社からは、農水省の認識を改めるべきとの指摘が出ています。株式会社ギフライスの恩田喜弘代表取締役は「コメの生産量が全然少なかったのだろう」「需要と供給のバランスが大きく崩れたのが要因」と分析しています。実際、コメの生産量は2021年から3年連続で需要を下回っており、特に猛暑の影響を受けた2023年は40万トンの不足が生じました。気候変動の影響も指摘される中、生産量を需要ギリギリに抑えるこれまでの政策にほころびが生じ、価格高騰につながったのではないかという見方が出ています。また、農家からも「まずは国の減反制度を見直すべき」との声があがっています。夢田ファームの海老澤信之さんは、減反政策によって多くの農家が苦しんできた現状に触れ、制度の見直しを訴えています。
政府は今回の会議で、コメ価格高騰の背景にある構造的な問題と、需給バランスの現状を正確に把握するための検証を急ぐ方針です。長年にわたり続けられてきた減反政策が見直しの岐路に立つ中、小泉大臣はコメ増産へと舵を切ることができるのか、今後の政府の対応が注目されます。