2025年6月5日、待望の新型ゲーム機、Nintendo Switch 2（ニンテンドースイッチ2）がついに発売されました。日本国内での希望小売価格4万9980円（税込）での抽選販売は、任天堂公式の「マイニンテンドーストア」をはじめ、各小売店に膨大な数の応募者が殺到する結果となりました。その圧倒的な人気ゆえに当選倍率は非常に低く、SNS上には抽選に外れた人々の悲嘆の声が溢れています。しかし興味深いことに、任天堂に対する直接的なクレームや批判はほとんど見られません。
ニンテンドースイッチ2の転売対策と評価
むしろ、今回のマイニンテンドーストアでの抽選販売方法に対して、任天堂は多くの称賛の声を集めています。その理由は、抽選販売の参加資格に「Nintendo Switchソフトのプレイ時間が50時間以上であること」「Nintendo Switch Onlineに累積1年以上の加入期間があり、応募時にも加入していること」という条件が設定されたためです。この条件は「素晴らしい転売対策だ」として大きな話題を呼びました。インターネット上では「転売ヤー涙目」「ざまあみろ」といった、転売業者に対する厳しい反応が多数見られます。しかし、実際のところ、転売ヤーたちはこのSwitch 2という「獲物」をどのように捉えているのでしょうか。初代Switchの転売だけで約1000万円もの利益を上げたというプロの転売ヤー・A氏に話を聞くことができました。
転売ヤーA氏が見るSwitch 2市場と初代での「稼ぎ方」
取材を行った5月31日は、Switch 2の発売が目前に迫っていましたが、転売ヤーA氏は驚くほど落ち着いた様子でした。「俺らが本気を出すのはまだ少し先の話。抽選でしか手に入らない時期は、いくら高く売れても数を捌けないから、コンスタントに稼ぐのは難しいんだ」とA氏は語ります。発売直後のプレミアム価格は7万円程度で落ち着くだろうと予測し、「抽選で運良く入手できたら売ろうかな、くらいの感覚」だと話しました。
初代SwitchでA氏が荒稼ぎした具体的な手口
A氏によれば、発売直後の高額な「プレ値相場」よりも、むしろ「誰でも定価で買えるようになってから」の方が転売ビジネスとしては勝負どころだったと言います。なぜなら、初代Switchの転売で最も利益を上げられたのは、市場価格が定価から大きく下がらず、Switch 2の発表があるまで買取価格が定価の約95％を維持し続けた長期の期間だったからです。「初代Switchは、高く買い取ってもらえる時期が長かったから、ヤフーショッピングや楽天、キャッシュレス決済の地域限定キャンペーンや店舗のポイントなどが、ほぼそのまま利益になったんだ」とA氏は明かしました。
大量のNintendo Switch本体を台車に積み込む転売ヤーA氏
具体的な手口としては、楽天のポイントバックなどを活用して定価よりわずかに安く購入し、それを専門の買取業者に売却するという方法でした。「1台あたり3000円くらいの利益が出て、毎月30台から40台はコンスタントに売っていたから、月に10万円くらいは安定して儲かっていたね」とA氏は話します。「任天堂には長い間、稼がせてもらったので感謝しかないよ」と冗談交じりに付け加えました。
初代Switch転売で得た収益を示す大量の現金
このような手法により、A氏は2019年だけで楽天経由で初代Switchを250台以上も購入したと言います。大手通販サイトや量販店からSwitchの在庫がわずか数十分で消え去った背景には、こうした組織的かつ大量に購入する「プロの買い手」の存在があったことが改めて浮き彫りになります。
結論
ニンテンドースイッチ2の発売は大きな注目を集め、任天堂が導入した抽選販売の条件は、多くの一般ユーザーから転売対策として高く評価されています。一方で、転売のプロは必ずしも発売直後の超高額転売だけを狙っているわけではなく、初代Switchで示されたように、定価に近い価格での薄利多売や、ポイント・キャンペーンを活用した巧妙な手口で継続的に利益を上げてきた実態が明らかになりました。今回のSwitch 2の対策は一定の効果を上げているように見えますが、転売ヤー側も新たな手法やターゲットを探る可能性は十分にあり、消費者の手に適正価格で商品が届くようになるまでの道のりは、まだ続くと言えそうです。
